Yaffee's Whisky Blog

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ウイスキーコニサー認定試験用 モルトウイスキーの製造 ~蒸留~


ウイスキーコニサー資格認定試験教本2018【上巻】

蒸留

発酵モロミを加熱し溶液に含まれるエタノールと水の沸点差(水が約100℃に対してエタノールが78.3℃)を利用して、分離しアルコールを濃縮する工程。

単式蒸留器は、

モロミを入れて加熱する蒸留釜(Body)
蒸気の貯まる空間であるヘッド(head)
蒸気が伝わっていく部分(ラインアーム/Lyne arm)
蒸気を再び液体化する冷却装置(コンデンサー/Condenser) で構成されている。

蒸留釜の材質

ポットスチルはすべて銅でできている。(例外:三郎丸蒸留所 銅と錫の合金である鋳物ス

チルなど)

理由

  • ① 身近に手に入る金属の中で銅が最も加工しやすく、熱伝導に優れている。
  • ② 銅を触媒として様々な香味成分が生成されるほか、アルコール蒸気に含まれる硫黄化合 物と銅が反応することで、不快成分を除去・分離できる。

 

オフフレーバーの例

硫化水素(H₂S)、 DMS(ジメチルスルファイド(CH₃)₂S)、DMDS(ジメチルジスルファイド(CH₃)₂S₂)

これらが銅と反応して硫化銅などの固形分として分離される。

 

初留について

 

・初留の役割

  • ① モロミ中のエタノールを全量回収する。
  • ② 加熱による熱化学反応によって新たな香味成分が釜材である銅を介して生成されるため、これも分離・回収する。
  • ③ 銅との反応で分離される不快なオフフレーバーの除去を行う

 

・初留釜でおきること

酵母由来=モルトウイスキーの発酵モロミでは、酵母が残ったまま釜に移され、蒸留を行うが、蒸留中酵母からアミノ酸脂肪酸エステルなどが溶出する。それにより、泡沫相が釜内に発生 し、含硫アミノ酸の分離など、酒質を強めるような反応が起きる。

泡沫相由来=泡が破裂することにより生じるミストが気流に乗って留液へ運ばれることがある。ミストには本来蒸留されないような高沸点成分や固形物も含まれるため、ミストの発生量をコントロールする必要がある。(=サイトグラスで泡立ち具合を目視する理由)

 

 

平均4~8時間かけて、アルコール度数20~22%のローワインを採取する。

 

再留について

 

・再留の役割

  • ① アルコールと香味成分の濃縮。
  • ② 香味成分の選択的分離によりフレーバーバランスを向上させる。
  • ③ 銅を介したオフフレーバーの除去・分離。

 

再留では留液を前留(ヘッド、フォアショッツ)・本留(ミドル、ハーツ)・後留(テイル、フェインツ)の3分割し、本留のみ貯蔵熟成工程にまわす。 (ミドルカット)

 

アイラモルトなどのピーテッドタイプのウイスキーでは、通常より後留寄りにミドルカットを行うことが多い。ピートの成分であるフェノール化合物は、本留部分より後寄りに採取されるため、このような傾向がある。

 

前留と後留は、次のローワインと混ぜられ、再び蒸留される。これにより前回の蒸留では採取しきれなかった成分なども採取できるため、前回のニューポットより含有量の増える成分がある。この工程を繰り返すことにより、増加する成分が飽和し、品質の安定化を図ることができる。

 

スチルと酒質の関係

 

1)スチルの形状

一般的にストレートヘッドやオニオン型は、蒸気がそのままラインアームに到達しやすいため、力強く重厚な味わいとなり、バルジ型やランタン型などのスチルは、蒸気が滞留する空間があるため、還流し、軽くすっきりとした味わいとなる傾向がある。

 

同じく還流するスチルとして

グレンモーレンジィ…バルジ型に長いネック。

グレングレント…独自のストゥーパ型に全部の蒸留器に精留器。

ロッホローモンド…ネックに棚段のあるローモンドスチル。

 

2)加熱方法

・直火焚き

ガスや石炭などを熱源(1000~1200℃)として釜の下から直接火を当て加熱する。

 

特徴…焦げ付きやすく、泡立ちによる不揮発性成分の移行が起きやすいため、香味にばらつきが生じやすい。

焦げ付きを防止するために釜内部にラメジャー(Rummager)という回転する鎖状の装置が設置されている。

酒質…香ばしく、力強い味わいが得られる傾向がある。

蒸留所例:グレンフィディックグレンファークラス、グレンギリー、山崎、余市

・間接加熱

パイプなどを釜内に設置し、130℃前後の蒸気を中に通して加熱する。

特徴…熱効率がよく経済的。操作が容易で自動化が可能。

酒質…直火焚きに比べてすっきりした味わいとなる傾向がある。

 

 (フルボディとなる傾向のポットスチル)

・小さめのサイズ

・ネックが短い

・ラインアームが下向き

・直火加熱

・精留器(ピュアリファイアー)なし

・ワームタブ方式の冷却器

 

(ライトボティとなる傾向のポットスチル)

・大きめのサイズ

・ネックが長い

ラインアームが上向き

・間接加熱

・精留器(ピュアリファイアー)あり

・シェル&チューブコンデンサ

蒸留のマスバランス

 

一般的なモルトウイスキーの2回蒸留の場合

100 発酵モロミ alc7%

初留 Alc47~1% 65初留廃液(ポットエール、スペントウォッシュ)alc0.1%未満 

35 初留液(ローワイン) Alc20% 22 前回の前留・後留 Alc30%

57 再留 Alc72~1% 張り込み量  24.5 再留廃液(スペントリース)Alc0.1%未満

10.5 本留液 Alc67%    22 前留・後留 Alc30%

本留液は容量で発酵終了モロミの約1割程度。

廃液はモロミ量の約9割である。

 

3回蒸留

 

特徴

・アルコール度数の高い(80℃以上)ニューポットが得られる。

・雑味の少ない、ライトでクリーンな酒質の蒸留液を得られる。

・熟成の早い酒質となる傾向があり、保管期間を短くすることができる。

蒸留所例;

オーヘントッシャン、ヘーゼルバーン、ウッドフォードリザーブアイリッシュウイスキー

 

続きはこちら!!  モルトウイスキーの製造 ~貯蔵/熟成~


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