Yaffee's Whisky Blog

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静岡蒸留所見学


 

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1.蒸留所について

 東京から新幹線で1時間ほどの静岡駅で下車し、しずてつバス奥の原上バス停までバスで揺られること1時間ほどのところにある。通称「オクシズ」と呼ばれる自然豊かな静岡の奥座敷に囲まれ、一級河川の安部中河内川が流れる隣にこの蒸留所はある。静岡蒸留所には広い駐車場があり、そこから心地よい自然の空気を堪能することができる。


 そんな静岡蒸留所は、「静岡の自然と調和する、ウイスキーづくり」ということを外観でも表現しているようで、「日本の美と西洋文化の融合」をテーマにした建築は、静岡の木材を多用した木のぬくもりとどこか親しみやすさがありつつも、革新的な建物であった。

 

蒸留所内部にも木にこだわり、天井、壁のほとんどは木目調を生かしたデザインとなっていた。

 

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 蒸留所案内となり中を見学させていただくことに。もともと見学ツアーをはじめから考えられた蒸留所内はクラフト蒸留所の中では通路などが広く、見学しやすい。また蒸留所内の写真撮影は歓迎されていた。

 

2.製造について

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 初めに案内された場所は1階部分の発酵槽。静岡蒸留所の発酵槽はオレゴンパイン4基、静岡県産イトスギ4基で間もなく2基導入予定だそう。使用酵母のメインはマウリ社のピナクルで、まだ製品化は難しいようだが、試験的に地元静岡生まれの静岡モルト酵母での仕込みも行われたそう。
 

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 次に案内されたのは麦芽の粉砕機。本場スコットランド産を中心に、ドイツ産、カナダ産、そして国内産のモルトを特性に合わせて使い分けている。これまたごく少量だが、静岡県産のモルトも使用し、樽詰めされている。圧巻なのはその粉砕機は1980年代のポーディアス社製モルトミルで、もともと軽井沢蒸留所で使われていたものだそう。使われることも少なく、骨董品のようになってしまった同社のモルトミルだが、逆に力強く丈夫でいい仕事をしてくれるらしい。その歴史ある粉砕機で1バッチ1tの麦芽を粉砕している。

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 続いて案内されたのは、糖化槽。ステンレス製の糖化槽が1基のみで、残念ながら、訪れたときは生産を止めメンテナンスを行っている時期で、造っている工程は見ることができなかったが代わりに糖化槽の中の構造まで見ることができた。下には濾過を行うときに使われるロイター板というろ過装置。槽の中には糖化中攪拌を行うレーキという熊手のような装置がある。

製造を始めて想像以上に糖化の重要性に気づかされたそうで、その日の気温湿度など様様な要因で味わいが全く異なるらしい。こういう話はなかなか大手では聞くことのできないことで大変貴重な情報を聞くことができた。

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続いてスチルのある蒸留室へ。そこにはポットスチルが4基あった。ここでまだ訪れたことがないが、雑誌等で静岡蒸留所の情報を見たことのある方は1基多いのでは?と思うだろうが、使用しているポットスチルは軽井沢で使われていたポットスチルとフォーサイス社製薪直火焚きの初留釜、同じくフォーサイス社製間接加熱の再留釜だ。稼働の予定は未定だが、すでに納品済みのホルスタイン社製ハイブリットスチルがリーサルウェポンのようにあった。

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 やはり静岡蒸留所の目玉ともなる薪直火のスチルだが、なんと薪を入れ、火をおこす部分は地元のピザ窯職人が作ったそう。確かに以前薪窯のピッツェリアで焼いていた経験のある自分から見ても確かに石の組み方が似ている。やはり、ピザを焼くには450~480℃程度の温度で焼き上げる。その窯はさらに高い1,000℃近い温度まで耐えられるように設定しなくてはいけなく、ウイスキーの直火焚きにはちょうどいい温度になっているのだろう。

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最後に蒸留設備のある建物を出て、施設内の別ところに熟成庫がある。まだ蒸留開始から2~3年程度だがずらっと並んだ樽が眠る熟成庫からは心地よいフルーティーな香りが漂っていた。この香りをかぎながら、この蒸留所からリリースされる製品が待ち遠しい気持ちにさせられた。

3.試飲

 

 

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作り方を見ていってもスコットランドの作り方を周到していたが、造られたニューボーンも軽井沢スチルのものはフィディックやリベットのようなシトラス感とフローラルでスムースというスペイサイドのような味わい。また薪直火スチルのものはトースティで厚みとコクがあり、ローランドに近い印象を感じた。さらにピートタイプの仕込みも行ったそうで、そのタイプはアードベッグのようなピーティーで南国フルーツ感があり、

それらをブレンドされた製品は短期熟成でもフレーバーの幅が広そうな初リリースものからかなり期待できるものとなりそうだ。

4.まとめ

 今回訪れて、静岡蒸留所がスコットランド・日本の伝統を生かし、静岡でしか作れないそんなウイスキーを作ろうとしていることを感じた。訪れたときはメンテナンス中で稼働中を見てはいないのが残念だったが、きっとリリースされる製品にはそのような思いが込められ、消費者にも静岡の空気を感じられるようなものを作ってくれると確信に近い信用をもった。

 

 個人的だが、出身県名の入るウイスキーを少しでも多くの方に知ってもらいたいと心より思う

 

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