Yaffee's Whisky Blog

穀物、水、イーストという3つの材料から多彩な味が生まれ、長い熟成で気候風土や歴史、いろんな文化も取り込んで感慨深いお酒となっていくことがウイスキーの魅力だと思います。その魅力を少しでも伝えられるよう様々な情報を発信できたらと思います。またウイスキー以外にもいろいろな良酒たちをご紹介できたら幸いです。

スコッチウイスキーとは? 続き

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前回の続きでスコッチウイスキーについてまとめていこうと思います 

yaffee28ppm.hatenadiary.com

 

モルトウイスキーの製造工程は大きく5つの工程があります。

1.製麦

2.糖化

3.発酵

4.蒸留

5.熟成

の5つです。

 

それではそれぞれ工程ごと説明していこうと思います。

 

1.製麦

 

 

 

これは大麦を発芽させて大麦の粒の中に酵素(でんぷんやたんぱく質を糖やアミノ酸に変える成分)を活性化させるために行う工程 です。

大麦に限らず植物の種にはたくさんのでんぷんやたんぱく質が栄養源として分子の大きい構造で貯蔵されています。植物の種は水や酸素などが十分にあると芽を出しますが、この時に分子の構造の大きいでんぷんやたんぱく質のままでは自分たちも栄養として使うことができません。そのため酵素としてでんぷんを糖に・たんぱく質アミノ酸に分解する触媒となる成分を生成します。西洋の穀物酒はこの酵素を使って穀物がもつでんぷんを糖に変えて、アルコール発酵させます。

昔はどこの蒸留所も自分たちでこの製麦工程を行っていましたが、今ではコストがかかるため製麦まで行う蒸留所は数少なくなってしまい、全部を自家製麦で賄っている蒸留所はスプリングバンクのみ となってしまいました。

 

スプリングバンク

モルトの香水 」とも称されるほど甘美で芳醇な香りのする魅惑的なウイスキーです。世界中のウイスキーマニアからも人気が高いですが、こだわりぬいて造られているため生産量が少なくオフィシャルスタンダードの10年ですら手に入らないこともしばしば。ぜひ一度味わってみてください。


スプリングバンク 10年 700ml 46度 正規輸入品 箱付 SPRINGBANK キャンベルタウンモルト シングルモルトウイスキー CambertownMalt Single Malt Whisky Whiskey ウィスキー ウヰスキー kawahc ※おひとり様1本限り

 

2.糖化

 

 

製麦工程で活性化させた酵素を用いてでんぷんやたんぱく質を糖やアミノ酸に変える工程 です。

実は糖化工程はウイスキーの製造工程で結構難しく、1度変わるだけで活性化する酵素が変わる ため、出来上がるウイスキーの味わいを大きく変える要因でもあります。ウイスキーの糖化はでんぷん分解酵素の働く65℃前後で糖化を行うことが多いですが、蒸留所によって糖化の温度を変えているので澄んだ麦汁を使うところもあればあえて濁った麦汁を使うところもあります。澄んだ麦汁ではエステルという香味成分が多く軽めのウイスキーとなる傾向があり、濁った麦汁では重めなウイスキーとなる傾向があります。

そんなあえて濁った麦汁で造るということのこだわりを持っている蒸留所はブレアアソール。

ブレアアソール

夏目漱石昭和天皇ともゆかりのあるスコットランド・ハイランドのブレア城そばの蒸留所。オフィシャルの12年は花と動物シリーズの1つで仕込み水がカワウソの小川という名前の川から引いていることもあり「カワウソ」が描かれています。

濃厚なオイリーさとレーズンやアプリコット・チョコのような味わいがあり、食後まったり飲むのに良いウイスキー です。


【あす楽】ブレアアソール 12年 UD花と動物 43度 700ml

 

またビールでもこの工程までは行いますが、ビールはたんぱく質分解酵素が活性化する低い温度から初めて徐々に温度を上げるため、たんぱく質のかなり少ない澄んだ麦汁を取ることが多い です。またこの後多くのビールはホップを入れて煮沸を行います。これはホップの苦みや香りを出すのはもちろん、残ったたんぱく質を凝固させてより澄んだ麦汁にする効果と麦汁の殺菌を行います。しかしウイスキーではそのあとの乳酸発酵やそのほかの微生物も重要となったりするので煮沸は行いません。

 

3.発酵

 

酵母によって糖をアルコールに変える工程 です。実はアルコール発酵する酵母というのは基本的にはサッカロミセス・セレビシエラテン語のため呼び方は文献によって変わります)というもののみでした。このサッカロミセス・セレビシエの亜種はたくさんあり、それが日本酒酵母やワイン酵母、エール酵母ディスティラリー酵母など様々分かれます。さらにどの酵母を使うのかによって出来上がるウイスキーの味わいがかなり変わります。

蒸留所によっては数十種類の酵母を組み合わせて蒸留所の味を作っていきます。

しかしこのサッカロミセス・セレビシエと違うサッカロミセス・ダイアマスという酵母を使ったウイスキーが2019年のグレンモーレンジィからリリースされました。

 

グレンモーレンジィ アルタ

完璧すぎるウイスキー 」と称されるグレンモーレンジィが毎年リリースしているプライベートエディション。その第10弾「アルタ」は蒸留所が持っている大麦畑で採取された野生酵母を使った革新的なウイスキー。野性味のある感じと花のような可憐さ・上品さ、オレンジの柑橘感、焼いたパンのような穀物感といった複雑な香り・味わいで最後にかすかにミントが鼻から抜ける変化が楽しいウイスキー です。

 
グレンモーレンジィ アルタ 51.2度 700ml 正規品 (専用BOX入)

 

4.蒸留

 

発酵工程でできたアルコールを蒸留することで濃縮する工程 ではありますが、それだけではなく、ウイスキーでは新しい香味成分を作ったり、香味成分の必要な所を濃縮、不必要な所を除去するといった香味成分の選択を行ったり しています。もっと簡単に言うとウイスキーは蒸留してできた熟成前の留液(「ニューポット・ニュースピリッツ」といいます)の蒸留所が考える「いいところ」取りをして「いいところ」だけを熟成させます。

詳しく見ていくとまず初留という一回目の蒸留でアルコール分の濃縮を行い、ポットスチル(単式蒸留器)の材料である銅によって蒸留前のモロミの好ましくない香りのする硫黄を取り除きます。そしてウイスキーでは酵母をあえて残したまま蒸留させるため熱によって新しい香味成分ができます。

そして再留という2回目の蒸留で雑味の多い留液のはじめと後寄りの部分をカットして好ましい真ん中の部分のみを熟成工程に回します。しかしこの「好ましい真ん中の部分(ミドル・ハート)」はまた蒸留所によって変わります。クセの強いアイラ島ウイスキーではハートを通常より後寄りに取ることが多 いです。これはピートの香り成分が後寄りに出てくるからで、このように考え方が各蒸留所にあり、それぞれ取り幅や取る位置が変わります。

 

ラガブーリン

アイラモルトの巨人 」と称される昔から人気の高いウイスキーです。特に再留にはゆっくり時間をかけて、平均より後寄りに長いハートを熟成に使います。これによってできたラガブーリンは葉巻のような心地よいスモーキーフレーバーと重厚感のあるフルボディな味わいを楽しむことができますウイスキーに飲みなれてきたらぜひ味わってみてください。

 
箱入り ラガヴーリン (ラガブーリン) 16年 43度 並行品 シングルモルト スコッチウイスキー

 

5.熟成

 

蒸留で得られた原酒を木製の樽に詰めて貯蔵・熟成を行う工程 です。熟成により無色透明の荒々しい原酒が円みを帯びた魅惑的な琥珀色のウイスキーへと変貌していきます。樽熟成中には蒸留段階で残ったオフフレーバーが蒸散していき、アルコールと水が会合(アルコール感が丸くなる要因)樽からの香味成分が溶けだすといった現象が起きていますが、まだまだ解明されていないことが多いようです。

そして樽熟成に関するウイスキー用語で「エンジェルスシェア(天使の分け前 」という言葉があります。これは樽で熟成しているときに中のウイスキースコットランドで年間約2~3%ほど減少していきます。この減少していくことをこのように言うのですが、昔の人は天使が樽の中のウイスキーを飲んだ分だけ、中に残されたウイスキーが豊かな味わいになっていく と考えていたため、この現象を「天使の分け前」と名付けました。

スコッチウイスキーでは熟成用の樽に使える素材にも決まりがあり、オーク(楢)の木から作られたもの しか使ってはいけません。これは伝統的にオークが樽を作ることに向いていることから使われてきたためです。また樽のことを書いていくと長くなってしまうのでまたどこかでまとめていこうと思います。

 

ハイランドパーク

究極のオールラウンダー 」との二つ名のあるウイスキーで現在スコットランド最北端の蒸留所が作るウイスキーです。樽のこだわりはどこの蒸留所も強く、様々なこだわりを持ってウイスキーを作っていますが、ハイランドパークはシェリー樽のこだわりの強い蒸留所でもあります。樽に使われる材は4年間スペインのシェリーの名産地へレスで天日乾燥させたものを使います。ハイランドパークがオールラウンダーといわれる所以はウイスキースモーキーフレーバーから華やかなアロマ、塩感など様々感じられるから です。1本飲んでも全く飽きさせないウイスキー。ぜひ嗜んでみてください。


ウイスキー ハイランドパーク 12年 バイキングオナー 700ml (34-2)(70165) 洋酒 Whisky

 

今回は長くなってしまったため製造までとさせていただきます。次回生産地ごとにスコッチウイスキーをまとめていこうと思います。次回もよろしくお願いします。