蒸留所データ
創業……1815年
創業者……ジョン・マクドゥーガル
オーナー会社……モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン
年間生産量(100%アルコール換算)……130万ℓ(2019年から生産倍増の工事中)
仕込み水……ウーガダール湖、アリナムビースト湖など
使用麦芽……ポートエレン製 基本ピートモルト
発酵槽……オレゴンパイン6基
イースト……マウリ社ドライイースト
発酵時間……64時間
ポットスチル……初留釜1基、再留釜1基、どちらもランタンヘッド
ミドルカット……Alc.75~62.5%(ニューポットAlc.69%)
蒸留所について
当初のアードベッグは様々なブレンダーが毛嫌いするほどクセがすごかった!?
アードベッグの正式オープンは1815年といわれています。
しかしこの周囲では密造酒造りが盛んで、それより前の1794年スタートという説もあるそうです。
ゲール語で『小さな岬』という意味で、創業者ジョン・マクドゥーガルが周りから隔絶された立地にアードベッグを建てました。
その後150年以上彼の家系で蒸留所を守り続けていたそうです。
ウイスキー研究家として有名なアルフレッド・バーナードがアードベッグを訪れたとき、
「その隔絶された立地がロマンチックなイメージを高めた」
とアードベッグ蒸留所を讃えていたそうです。
しかしこのような専門家からの評価とは裏腹に、アードベッグの経営はそこまでうまくいってなかったといわれています。
1977年、この時にはハイラムウォーカー社の所有となっていました。
この時、アードベッグがずっと続けていた独自のフロアモルティングをやめました。
周囲からアードベッグの味を大きく変えてしまうのではないか、アードベッグの伝統の味わいが損ねられてしまうのではないかという懸念の声が多かったそうです。
なぜここまで懸念されていたかというと、アードベッグの麦芽乾燥塔には普通の蒸留所ならついているはずの換気装置がなかったのだとか。
おかげでピートの煙が余すことなく充満し、異常なほどスモーキーなモルトに仕上がっていたんだそうです。(一度飲んでみたいですね。)
あまりの煙たさにブレンダーたちからも敬遠されていたといわれています。
つまりこの時は今まで以上にコアなファン向きモルトだったんでしょうね。
以降お隣のポートエレン製麦所のピートモルトを使うようになります。
今でこそカルト的人気のあるアードベッグも暗い過去がある。。
1980年、当時はブレンデッドウイスキー人気から蒸留所が多くできすぎ、需要と供給のバランスが悪くなっていた時期。
しかし、売れるウイスキーはブレンデッドが今以上にメイン。アードベッグもモルトを改善したことで、ブレンデッド市場向けにウイスキーを造っていきますが、供給過多によるウイスキー不況となり、1981年には閉鎖を余儀なくされます。
このウイスキー不況はパティソンズ事件というものが発端で起きるそうです。
(ウイスキー不況に関してはなた今度記事についての記事はComing Soon。。。)
その後、1987年になり、アライドライオンズ社に売却。1989年以降同社のもとで再開されます。
当時アライドライオンズ社はラフロイグも所有していました。
どちらかというとラフロイグのほうが主力商品。
ラフロイグの職人が年2カ月だけアードベッグ蒸留所に来て、アードベッグを作っていたそうです。
今のアードベッグ所長もこの時元ラフロイグの職人でアードベッグの仕込みに来ていた方だそうです。
1997年、グレンモーレンジィ社(現モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン社)がアードベッグを買収。
この時の買収金額は700万ポンド(約1億円ぐらいだと思います)。
その後は不死鳥のように復活を遂げ、今ではカルト的な人気(アードベッグファンのことを「アードベギャン」というようです。)を誇っています。
アードベッグのこだわりポイント
使用する麦芽は基本55ppmのヘヴィーピートタイプ
アイラ島の中でもスモーキーでクセの強いモルトウイスキーを造る南部三つの蒸留所を「キルダルトン3兄弟」といいます。
ピートの数値を計るとき「フェノール値」としてフェノール化合物の含有量で測るのですが、キルダルトン3兄弟の中でもアードベッグが最も高い数値。
麦芽の数値以外この3兄弟はほとんど同じ水系の仕込み水だそうで、原料に大きい差はないそうです。(ラフロイグのフロアモルティングも使用量は全体のごく少量。)
再留釜にはアイラ唯一の精留器
先ほどキルダルトン3兄弟に原料の差はほとんどないという話はしましたが、実は発酵工程までそこまで大きい差はないようです。
最も違いが出すのがスチル、蒸留工程で大きな違いが生まれます。
アードベッグは再留釜のラインアームのところに精留器という器具がついています。
つまり重めな酒質となる成分を取り除くことができます。
これはアイラ島唯一です。
スモーキーでありながら、スイートでフルーティなアードベッグの個性はここから作り出されているのだと思います。
ラインナップ
アードベッグ TEN
アードベッグで最も定番のウイスキー。アルコール度数46%でノンチルフィルタード、ノンカラーは発売当時、オフィシャルスタンダードウイスキーでは珍しかったそうです。しかしこの度数そしてノンチル、ノンカラーが最もウイスキーを楽しめると考えられて、定番ウイスキーでこの度数にしたそうです。
【アルコール度数のヒミツについて知りたい方はこちらをクリック!!】
アードベッグ ウーガダール
シェリー樽熟成の原酒をブレンド。アードベッグのスモーキーさと南国フルーツ感とシャリー樽特有の紅茶や黒糖の甘味のような味わいの一体感を楽しめます。
ウーガダールはアードベッグの仕込み水の名前。ゲール語で『暗くて神秘的な場所』という意味です。その名の通り深く神秘的な余韻があなたを包み込みます!!
【樽について詳しく解説して記事は こちらをクリック!!】
アードベッグ コリーヴレッカン
フレンチオーク樽を使用したスパイシーで力強いアードベッグ。
コリーヴレッカンはアイラ島とジュラ島の間の海峡のことで、世界で2番目に大きい渦潮ができるそうです。
まさに渦潮の力強さと引き込まれるような深みを味わいで表現しています。
アードベッグ アンオー
バーボンカスク、PXシェリーカスク、新樽)の3つの原酒を、時間をかけて馴染ませ、円みある複雑な味わいに仕上げたアードベッグ。
アンオーはアイラ島南西部のオー岬が由来だそうです。この岬は荒波で削れ、丸み帯びた地形なのだとか。
このウイスキーのスモーキー感と熟成感の心地よいハーモニーが荒波と丸み帯びた地形なのかなと思います。
最後まで今回の記事を読んでいただきありがとうございます。
アードベッグの話いかがだったでしょうか
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