アードモア Ardmore蒸留所について
『アードモア Ardmore』はゲール語で「大きな丘」という意味だそうです。
スコットランドのハイランドにある蒸留所で、今でもハイランド伝統のスモーキーなモルトウイスキーを作っています。
そのパンチの効いたスモーキーフレーバーがアードモアの特徴。
スコッチウイスキーの原点ともいえるスモーキータイプのウイスキーで、ブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ Teacher’s ハイランドクリーム」のキーモルトです。
今回はそのアードモアのストーリー、こだわりについて詳しく見ていこうと思います。
アードモア Ardmoreのストーリー
アードモアは1898年、「ティーチャーズ」の創業者ウィリアム・ティーチャーの息子・アダム・ティーチャーが「ティーチャーズ」の原酒確保のために建設します。
選ばれた場所はアバディーンシャーのボギー川東側のケネスモント近郊。
この地域はハイランドとスペイサイドの境界ぐらいの位置のため、人によってはスペイサイドモルトと紹介する人もいるそうです。
しかし、この蒸留所の職人たちは一貫して「スペイサイドではなく、ハイランド!!!」と断言しています。
それはスペイサイドのモルトウイスキーとは全く異なる造り方をしているからだそう。
今ではほとんど作られることのなくなった、ハイランド伝統のパンチの効いたスモーキーなモルトウイスキーを作り続けています。
ただこの蒸留所は「ティーチャーズ」の原酒確保のために作られた蒸留所なので、長いことモルトウイスキーに注目されることはありませんでした。
アードモアがシングルモルト用のウイスキーを作るようになったのは、2005年ビームサントリー社所有になってから。
2016年にシングルモルト「アードモア レガシー」がリリースされます。
これが程よいスモーキーフレーバーとコスパの良さからすぐに人気商品となります!!
市場が求めているウイスキーをわかっていたサントリーもすごいですが、
リリース後すぐに人気モルトウイスキーの仲間入りを果たしたアードモアも、長年いいモルトを作っていたんだろうな。と思います!!
アードモア Ardmoreのこだわりの製法
アードモア蒸留所のあるケネスモントは、豊かな自然に囲まれ、周辺は大麦の一大産地だそう。それに加えピート・清冽な水・鉄道の便もよく、ウイスキー造りに最高の環境だそう。
1975年までは自社で製麦を行っていましたが、今では麦芽業者に委託しています。
ただ、今でも地元産も大麦を使用しているそうです。
その大麦も使い、ライトピートタイプの原酒とノンピートタイプの原酒を作っています。
ライトピートに使われるピートは蒸留所近くでとれる地元産のピート。
このピートにはアイラのピートのように海藻やミズゴケなどが含まれていません。
そうなるとアイラのモルトウイスキーのようなヨード臭、保健室の消毒液のような香りの特徴はほとんどありません。
内陸部のピートを使ったモルトウイスキーは炭や煤といったパンチのあるピート香が特徴です!
アードモアはこの内陸部のパンチの効いたスモーキーなウイスキーの代表格です
このピートを使うことがスコットランドハイランドの伝統でしたが、今ではこのピートを使う蒸留所が少なくなってしましました。
アードモアは今でも古典的なハイランドモルトを守り続けている蒸留所でもあります。
ただ昔はヘヴィーピートタイプのウイスキーを作っていましたが、今ではライトピートに変わっています。
元々は『ティーチャーズ』用の原酒がメインだったため、強い個性の原酒が欲しかったのだとか。今でも『ティーチャーズ』用のキーモルトですが、シングルモルト用のウイスキーは受け入れやすい味わいに変えたのだと思います。
個人的には程よい個性と飲みやすい今の『アードモア レガシー』もいいですが、人を寄せ付けないぐらいパンチの効いた昔の『アードモア』が好きです!!(笑)
たまに限定リリースされないかなーって思っています。
今のものとも、アイラのものとも全く違ったほかにないピート香が味わえると思います!
その麦芽を、ノッカンディの丘の湧き水で7時間以上かけて糖化。
木製の発酵槽で、53時間かけて発酵させます。
この時使用するのはディスティラリー酵母というクリーンでエステリーな香りが付くといわれている酵母(1950年代にウイスキーづくりのために開発された酵母です)。
出来上が上がったもろみ(発酵液)はアルコール度数8.6~8.7%になるそう(中程度)。
これを2回蒸留してアルコール度数68%の『ニューメイク』(熟成前のウイスキー)がつくられます。
この時の蒸留器はすべてオニオン型。やや重めな酒質に仕上がりやすい性質のあるポットスチルです。
この蒸留器が初留4基、再留4基の計8基あり、アードモアのある東ハイランドで最も大規模な蒸留所となっています。
こうして作られたニューメイクを基本1stフィルのバーボン樽(バーボンに使用した後一番最初の樽のこと)に詰めて熟成させます。
この樽を使うとはちみつやバニラといった香りが付きやすいです!
他にもバーボン樽のクオーターカスク(小さめの樽)や、時々ポートワインの樽で熟成させているそうです。
そして熟成をアードモア蒸留所とティーチャーズ社所有のグラスゴーの熟成庫に分けているそう。
こうすることで多彩な香味のウイスキーを育んでいるそうです!
アードモア レガシー Ardmore Legacy
2016年にリリースされたファン待望のアードモアのオフィシャルスタンダードウイスキー。
何よりこのウイスキーはコスパがいいです。
3000円超えるか超えないかぐらいの価格帯で、しっかりとパンチの効いたスモーキーフレーバーと洗練されたバランスのいい味わいが楽しむことができます。
ややスパイシーな一面もあり、ストレートでもハイボールでもロックでもお好きな飲み方で楽しめるのがアードモアの魅力だと思います!
「アードモア レガシー」のロゴには守り神!!
アードモアのロゴには、大きな銅色の鷲が描かれています。
この力強く空を舞う鷲は、蒸留所の守り神だそう。
その背景にはケネスモントの地図がデザインされています。
このデザインもまたかっこいいですよね!!
蒸留所データ
創業……1898年
創業者……アダム・ティーチャー
オーナー会社……ビームサントリー
年間生産量(100%アルコール換算)……555万ℓ
仕込み水……ノッカンディの丘の湧き水
使用麦芽……ライトピート麦芽とノンピート麦芽がメイン。
発酵槽……ダグラスファー製の木桶14基
発酵時間……53時間程度(モロミAlc8.6~8.7%)
ポットスチル……初留釜4基、再留釜4基
ニューメイク……Alc.68%
生産区分……東ハイランド