本日もお越し頂きありがとうございます。
本物はどこでも認められるものだなと思うウイスキーを愛する料理人です
今回のお話は、
「ベンネヴィス 蒸留所」
について
ベンネヴィスは豊かなコクがありつつ、フルーティでバランスに富んだ味わいが特徴。
日本のニッカウヰスキーがスコットランドに持っている蒸留所です。
今回は、このベンネヴィスについてまとめていこうと思います!!
ベンネヴィス Ben Nevis蒸留所について
ベンネヴィスはイギリス最高峰の山「ベンネヴィス」(標高1344m)から名付けられました。
ゲール語でベンは「山」、ネヴィスは「水(または雪)」の意味だそう。
その名にふさわしく清らかな雪解け水と自然に恵まれた土地にある蒸留所です。
1989年からはニッカウヰスキー所有となっています。
この蒸留所のモットーは「品質本意」だそうです。
イギリス最高峰の山の名を冠し、ニッカウヰスキー所有となっているベンネヴィスには深いストーリーがありました。
ベンネヴィス Ben Nevisのストーリー
1825年「ロング・ジョン」の愛称で親しまれていたジョン・マクドナルドが創業します。
愛称の由来はそのまま、身長193㎝の「のっぽなジョン」からつけられたそうです。
「ロング・ジョン」はブレンデッドウイスキーの名前にもなっています。
ベンネヴィスを創業した年に、ブレンデッドウイスキー「ロング・ジョン」も誕生。
長い間「ロング・ジョン」にはベンネヴィスの原酒が使われていましたが、今では使われていません。
実はジョン・マクドナルドは西スコットランド王国の領主の子孫。
大きな体、強靭な肉体と優しい心を持った地元の英雄だったそうです。
ある日、イギリスの公爵夫人がベンネヴィス山で道に迷ったとき、ジョンは鈴を一つ持って助けに向かったそう。
公爵夫人は鈴の音を聞いてジョンの存在を知り、遭難せずに済んだのだとか。
大きい身体だけでなく、優しい心と勇気を持ったジョンが、スコットランドのベンネヴィス山近くに蒸留所を建設。
シングルモルトとブレンデッドウイスキーを作ります。
そしてジョンのウイスキーは「スコッチの巨人」として呼ばれ、広くして親しまれていきました。
1856年ジョン・マクドナルドが亡くなると息子のドナルド・マクドナルドに所有権が移ります。
ドナルドは拡大するウイスキー需要に応えるべく、ネヴィス蒸留所を建設。
ベンネヴィスの一部門として稼働していましたが、1908年ウイスキー不況のあおりを受けて閉鎖。
今でこそ世界的な地位を確立しているスコッチウイスキーですが、業界を揺るがす大きなスキャンダルがあったことご存じでしょうか? 1900年代、ほとんどのスコッチウイスキー蒸留所が一度閉鎖され、多くのウイスキー関連企業が[…]
今ではベンネヴィスのビジターセンターとなっています。
1955年、元海軍のジョセフ・ホップスが買収します。
ジョセフは海軍退役後、禁酒法時代のアメリカでブートレッガー(酒類の密輸業者)として荒稼ぎしていました。
またカナダのトロントに証券会社を持っていたやり手ビジネスマンだったそうです。
1933年の大恐慌で築いた財産を失ったそうですが、流石はグレーゾーンも攻めていくやり手ビジネスマン。
スコットランドにわたるとすぐに蒸留所ビジネスで成功します。
グレンユーリーロイヤル、グレンロッキー、ブルックラディを買収。
そしてグレネスク、フェッターケアン、ベンロマックなども所有していったそうです。
このことからジョセフは「ウイスキー男爵」として名を馳せたといわれています。
ジョセフはベンネヴィスのポットスチルの横にパテントスチル(コフィー式蒸留機、連続式蒸留機)を増設。
グレーンウイスキーも作れるようにしました。
ただしこの試みは失敗。
のちにパテントスチルは撤去されました。
1981年、ビール会社のウィットブレッド社が買収されますが、83年にあえなく業績不振により生産停止に。。
1989年、スコッチ業界がウイスキー不況という逆境の中、ニッカウヰスキーがベンネヴィスを買収します。
ニッカウヰスキーは、スコッチに新規参入しようというつもりでなく、
スコッチ業界の渦中に入ることで様々な情報を仕入れようとしてこの蒸留所を買収したそう。
ただ、この時日本はバブル期。
多くの日本企業が海外企業を買収していました。
そのため、海外から日本企業の印象はあまり良くなかったと思います。
日本企業が蒸留所を買収したことで反感を買うことを恐れたニッカウヰスキー。
スコットランドにダミー会社を作り、そこが買収した形にしました。
しかし、そのダミー会社がニッカウヰスキーだということがすぐにバレてしまいます。
非難されることを恐れていたニッカウヰスキーに思いがけない言葉がかけられました。
「日本で俺ら伝統のウイスキーを本格的に作っている会社が、
俺らの地元の蒸留所を救ってくれた!!」
と称賛されたそう。
ノートと鉛筆で真面目にウイスキー造りを学び、スコットランド伝統のウイスキー造りのすべてを盗んでいった竹鶴政孝の存在とその奥様のリタの存在が大きかったと2代目社長は語っています。
竹鶴政孝の長男、竹鶴威のスコットランド紀行。2002年7月下旬、5年ぶりに父 政孝の足跡を訪ねる。…
この時にブレンデッドウイスキー「ロング・ジョン」はアライド・グループに売却され、ベンネヴィスとの関係がなりました。
ベンネヴィス Ben Nevisのこだわりの製法
ベンネヴィスが使用する麦芽はわずかにピーデッドタイプのモルトも使うそうですが、
基本的にはノンピートです。
発酵槽は木製とステンレス製の物を使い分けています。
ポットスチルはストレートヘッド型で初留2基と再留2基。
ベンネヴィスはブレンデッド用のウイスキーメインでシングルモルトとして出回ることが稀でした。
しかし、1989年以降のニッカウヰスキー所有となってからは、バランスの取れた素晴らしいシングルモルトを多くリリースしています。
ラインナップ
ベンネヴィスの豊かな自然を詰め込んだウイスキー。豊かな香り、コクがありつつバランスよくまとまっていてまろやかな口当たりです。
価格帯 | 3000~4000円 |
---|---|
アルコール度数 | 43% |
容量 | 700ml |
特徴 | ニッカウヰスキーが持っているスコットランドの蒸留所 |
原産国 | スコットランド |
アロマ | 3.7 |
フレーバー | 3.6 |
余韻 | 3.6 |
蒸留所データ
創業……1825年
創業者……ジョン・マクドナルド
オーナー会社……ニッカウヰスキー
年間生産量(100%アルコール換算)……200万ℓ
仕込み水……オルト・ナ・ヴーリン川
使用麦芽……基本ノンピート
発酵槽……木製2基、ステンレス6基
ポットスチル……初留釜2基、再留釜2基
生産区分……ハイランド(西ハイランド)
最後まで今回の記事を読んでいただきありがとうございます。
ベンネヴィスの話いかがだったでしょうか
この記事が面白かった・よかったと思ったらランキングまたは、はてなアカウントをお持ちの方は「はてなブックマーク」へのご協力をお願いいたします。
