「ピートタイプのウイスキー」、「ピート香のするウイスキー」など
ウイスキーについて調べていくと「ピート(Peat)」という単語が出てきますよね。
「ピート」とは日本語で「泥炭」と言うのですが、
日本語に直したとしても、あまりなじみがないのではないのではないでしょうか?
ただこの「ピート」がウイスキー(特にスコッチウイスキー)の個性「スモーキーフレーバー」を生み出しています!
そこで今回は「ピート(Peat)」についてみていこうと思います。
ちなみに僕のアカウント名『Yaffee』はピートにちなんだ言葉です。
後でご紹介させていただきます(笑)。
「ピート(Peat)」とは
ピート(Peat)は日本語では「泥炭」と書きます。
ウイスキー文化研究所の説明文では「 ツツジ科エリカ属の低木ヒース(ヘザー)や草、樹木などが堆積してできた泥炭、草炭のこと 。」(引用:ウイスキー検定公式テキスト / 土屋守/執筆・監修 / 小学館)。
簡単に言えば「燃える泥 」ということ。
実は石炭の一種で、石炭として固まる前の泥との間の状態が『ピート』だそうです。
つまり『ピート』は数千年以上もの歳月がかかって出来上がるもの。
有限資源でもあります。
(大体1000年で15cmのピート層しかできないといわれています。)
数回の氷河期で、スコットランドから樹木はほとんど消え失せ、代わりに広大なピート湿地(ピートホグ)ができました。
スコットランドの英雄「ウィリアム・ウォレス」を題材にしたメル・ギブソン主演の映画「ブレイブハート」でも暖をとるためや料理のためにピートを使うシーンが描かれています。
スコットランドやアイルランドなど北欧地域では、古くから一般家庭の燃料として使われてきたそうです。
ピート(Peat)をなぜウイスキーに使うの?
いつからウイスキーにピートを使うようになったかはわかりません。
ピートはスコットランドやアイルランドでは古くから一般的な燃料です。
つまりウイスキーがつくられるようになる前から麦芽の乾燥にピートが使われていたと思います。
大麦をもやしのように根を生えさせ乾燥させて保存する、つまり麦芽(モルト)は古代から作られていました。
古代のパンのほとんどはモルトを使ったものだったそう(諸説あり)。
スコットランドなどの地域では、もともとパンやビールのために作る麦芽の乾燥にピート使っていたのではないでしょうか。
現に今でもピートを焚いたビール(スコティッシュエール)というのもあります!!
ウイスキーにピートを使う理由をまとめてみると「スコットランドでは ピートが一般的な燃料だったから 」ではないかなと思います。
この当時のスコッチの考え方に今のウイスキー造りのような「スモーキーな香りをつけたかったから」という考えはあまりなかったのではないでしょうか。
現に昔のスコッチウイスキーは乾燥時間のすべてをピートで乾燥さているものが多かったそうです。
(アイリッシュはこの香りを嫌い、ピートを焚かずに作ることが多かったみたいですが……。)
今では全時間ピート乾燥させているウイスキーはキャンベルタウンのスピリングバンクが造る銘柄「ロングロウ」ぐらいです。
今では無煙炭や熱風乾燥など様々な技術で麦芽を乾燥させることができます。
それでもいまだにウイスキーにピートが使われるのは「 ピート乾燥の独特なスモーキーフレーバーが欲しいから 」です。
そしてこのピートを使った時のスモーキーフレーバーは他にはない独特なスモーキーフレーバーが付きます。
ピートによるスモーキーフレーバーについて<
ピートにも種類がある!?
実は一言にピートといっても様々な種類があります。
ピートは炭化の進み具合から「フォギー」「ヤフィー」「モス」など呼び方が変わります 。「フォギー」は8000年程度の若め、「ヤフィー」は12000年の中程度、「モス」が16000年程度の古め、みたいな感じです。
僕のアカウント名は自分の名字に近いこのヤフィー(Yaffee)を取ったものでした。(どうでもいい情報ww。)
ピートは場所によって風味が変わる!!
この炭化度合いの違いでスモーキーフレーバーの香りが変わってくるのですが、さらに 何の植物が堆積したピートそうなのか。掘り出される深さ、場所によってウイスキーの香りや味が変わります。
たとえば海沿いや島のピート(アイラ島など)にはピートの中に海藻が含まれているそう。
そういったピートにはヨウ素、ヨードが含まれていることが多いです。するとこのピートを使ったウイスキーはヨード香、保健室の消毒液、正露丸のような香りが付きます。
この香りがスコッチの中でも個性的なアイラモルトの特徴となっています。
また、このヨード香がファンを虜にし、初心者がスコッチを遠ざけやすい香りでもあります(笑)。。。
対して海藻類の含まれていない内陸のピートはダイレクトな薫香、パンチのあるスモーキーフレーバーとなることが多いです。
この違いは、
内陸代表として
ベンリアック蒸留所のピーデッドタイプ『キュオリアシタス』
トミントール蒸留所がリリースしているピートタイプ『オールドバランデュラン 』、
エドラダワー蒸留所のピートタイプ『バレッヒェン』
などと
アイラ
ラフロイグ 10年
アードベッグ TEN
などを比べてみるとわかると思います。
スコットランドのピートの島
ピート湿地(ピートホグ)はスコットランドの本土では北部に多いですが、ウイスキーの聖地・アイラ島では島の1/4がこのピート湿地です。
さらに新しくウイスキー蒸留所ができたばかりのルイス島では島のほとんどがピート湿地だそうです。
ちなみにお隣、アイルランド島は島の約2割がピート湿地で、今でも家庭用燃料にピートを使うところが多いそうです。
しかし、スコッチのようにピートを焚いているウイスキーは少ないです。
あまりアリルランドの人はピートが好きでなないようですね。
日本でもピートはある!?
それは寒冷な地域の北海道。
竹鶴政孝が夢見た100%国産ウイスキーの理想郷がまさに北海道・余市でした。
余市は清らかな水、豊富なピート湿地、湿度の高くウイスキーの熟成に適した環境、どれをとってもウイスキー造りに適した場所だったそう。
ただ北海道にはまだまだウイスキー造りに適した場所があるそうで、ここ最近多くの蒸留所できています。
今年シングルモルトを初リリースした厚岸蒸留所、
今はジンのみですが、ウイスキーも視野に入れている紅櫻蒸留所、
それ以外に未発表ですがウイスキー蒸留所が一つ計画中だとか。
ピート感が特徴のおすすめウイスキー
スカラバス
ウイスキーの有名ボトラー・ハンターレイン社がリリースする蒸留所非公開の限定品ウイスキー。しかし、限定品ながら結構良心的なお値段。
そしてウイスキー自体の若さも感じますが、スモーキーな香りと潮の感じ。
たばこのような重いニュアンスの少しありつつ、甘味とピートがゆっくり長く楽しめる。
若いモルトで良心的なお値段の割に余韻がやたら長くて、かなりおすすめ度高いです!!
ラガブーリン8年
過去に200周年の記念としてリリースされたものがレギュラー商品として復活しました。
16年はアイラの中で最もリッチで重ためのスタンダードウイスキーでしたが、8年はそれよりはやや軽め、しかしリッチさと葉巻のような感じ、重厚感あるコクは健在。やや草っぽいニュアンスが16年より強く、若さは否めないですが、このウイスキーは常備したい一本です。