Yaffee's Whisky Blog

ウイスキー好きの料理人が書くウイスキー中心のブログ。

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ウイスキーコニサー認定試験用 グレーンウイスキーの製造

 

 

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大麦麦芽のみを原料とするモルトウイスキーに対して、それ以外の穀物を使用するウイスキーのことをグレーンウイスキーという。

 

グレーンウイスキーの特徴

・高いアルコール度数で造られるため原料由来の香味成分は考慮されないことがほとんど。

・香味成分が少なく個性が乏しいため(サイレントスピリッツといわれる)、ほとんどがブレンデッドウイスキーの原酒用。

・種類は問わず価格の安い穀物原料が選べて、製品コストが抑えられる。

・原料を連続的に処理できるため、生産効率が高く大量生産向き。

エタノール、フーゼル油以外の要素が少ない。

・生産者が独自のノウハウを持ち、常に改良を行っているため、採用している方法・生産設備はバラエティーに富み、作りに関しては公開していない部分が多い。

 

 

製造

<原料>

主原料…未発芽の大麦や小麦、トウモロコシ

様々な穀物を利用することが可能で、入手できる原料の調達単価が重要。

副材料…大麦麦芽

未発芽の穀物を糖化させるために、酵素力の強い大麦麦芽を使う。一般的には六条大麦麦芽が使われる。酵素源として総量の10~20%程度を使用する。

 

(バーボンやスコッチのグレーンウイスキーの製造では六条大麦が採用される理由)

六条大麦二条大麦に比べ、粒が小さくでんぷんが少ないため、糖やエキス分の抽出量は少ないが、たんぱく質が多く酵素力が強い。そのため他の穀物も糖化させるバーボンやグレーンウイスキーの製造に適している。

 

<粉砕>

生産者の考えにより粉砕方法は選択される。

・ハンマーミルで細かく粉砕

濾過しないので粒度分布の管理が必要ないため。

・ハンマーミルとローラーミル併用

ハスクへのダメージが少ないという利点がある。

粉砕せず全粒のまま仕込む業者もいる。

*ハンマーミル…ハンマー付きのディスクを回転させ、投入した原料を壁面のブレーカープレートにあてて、その衝撃力で粉砕を行う。

 

<煮沸>

グレーンウイスキーでは未発芽の麦やトウモロコシを使うが、特にトウモロコシは粉砕しそのまま大麦麦芽と混ぜ、65℃程度で糖化しようとしてもなかなか糖化できない。穀物自体の構造が固く、デンプン、糖、エキス分を抽出しにくいからである。そのためクッキング(煮沸)という作業を行う。

(大まかな作業の手順)

  • スラリータンクで粉砕した穀物と40~70度の温水を混ぜ合わせる。
  • クッカー(煮沸器・巨大な圧力釜)に移し、90~150℃に加熱する。
  • クッキング終了後、60~70℃に冷却し、麦芽を投入

 

(クッカーの種類)

・バッチ式…90~150℃の熱湯で20~50分間処理する。

・連続式…120~150℃で5分間処理する。全粒の場合2時間程度処理に要することがある。

 

<糖化>

・水と粉砕麦芽を混合した粥状の溶液を、クッキング終了液に加えて糖化を行う。

・糖化に要する時間は30時間程度

・糖化槽での原料(+麦芽)と仕込み水との混合比率は1:2.5程度となる。

・糖化後のろ過は行わないところが多い。粗濾過するところではスパーシング(温水の散布)を実施する。

 

<発酵>

・糖化液を18~30度程度に下げ、発酵槽にて酵母を添加する。

・添加量は状況に対して変化するが、プレス酵母の場合およそ0.05~0.2%程度になる。

・18~32℃で3~4日間かけて発酵させる(モルトウイスキーよりやや長めである)。

・アルコール度数8~11%の発酵液を得る(モルトウイスキーよりやや高めである)。

・もろみには特定の個性が望まれていないため、ニュートラルな酒質を生む酵母を使用。

 

<蒸留>

・連続式蒸留機を使用する。

・アルコール度数90%以上(94.8%以下)の蒸留液を連続的に得る。(モルトウイスキーの本留液は65~70%程度)

・蒸留機操作により、任意のアルコール度数、酒質の蒸留液を製造することができる。

アイルランドでは未発芽の穀物を含む原料の蒸留処理を、単式蒸留機で行う場合がある。(ポットスチルウイスキー

 

<貯蔵・熟成>

・蒸留液は加水し、モルトウイスキーと同様アルコール度数を60~70%程度に調整して樽詰めを行う。

・樽材成分を多く抽出しすぎないために、古樽を利用することが多い。

 

連続式蒸留機について

連続式蒸留機とは、発酵モロミを連続的に投入して蒸留を行い、同時に留液を連続的に得る蒸留装置のこと。

十段から数十段の棚段を持つ塔状の装置で90%以上のアルコール濃度の留液を得ることができる。また、各棚から留液を取り出せる構造になっていて、望む酒質やアルコール度数の留液を得ることができる。多種の原材料に対応でき、熱効率にも優れ、大量の原料を効率よく処理できるため、ウイスキーづくりの産業化に貢献した。

 

(歴史)

1831年 アイルランド収税官のイーニアス・コフィーがコフィー式の連続式蒸留機でパテント(特許)を取得。そのため、このスチルを「パテントスチル」とも言う。(ニッカでは「カフェスチル」)

 

(主な連続式蒸留機)

・コフィー式…粗留(モロミ)塔と精留塔の2塔式

・アロスパス式…分離塔、濃縮塔、抽出塔など多数の蒸留塔を持ち、従来型よりアルデヒド、フーゼル類を格段に分離し、高純度のアルコールが得られるようになっている。

など

 

各棚の内部には多数の小孔あいた板があり、様々な形があるがウイスキーの蒸留塔で広く採用されているのは「シーブトレイ」という内部構造。

 

<パテントスチル>

イーニアス・コフィーが発明・特許を取得して蒸留機で、コフィータイプ、コフィースチルともいう。その後に開発された連続式蒸留機よりアルコールを高純度で回収しないため原料由来の香りや成分が残り、ウイスキーにその個性が反映されるといわれている。

 

<アロスパス式蒸留機>

通常の蒸留では不純物のフーゼル油は、アルコールと共沸してしまうために、純粋なエチルアルコールは得られない。そこでフーゼル成分は水に溶けず油状となって2層に分かれる性質(疎水性)を利用し、濃縮したアルコールへ熱水を加えて不純物層として分離する方法を開発した。この方法はアルコール度数を約10%に保つように加水して行われることから「加水抽出蒸留」と呼ばれる。

 

 

スコットランドのグレーンウイスキー蒸留所

キャメロンブリッジ(Cameronbridge)ローランド/ウィンディーゲーツ

ディアジオ

年間生産量は1億ℓ。グレーンウイスキーのほかにゴードンタンカレージンスミノフウォッカも生産している。シングルグレーンウイスキーの販売している。

ストラスクライド(Strathclyde) ローランド/グラスゴー

ペルノリカール

グレーンウイスキーニュートラルスピリッツを生産する設備がある。

ガーヴァン(Girvan) ローランド/ガーヴァン

ウィリアム・グラント&サンズ

「グランツ」原酒のグレーン生産拠点として建設。連続式蒸留機以外にダークグレーン処理プラント、ブレンディング工場、モルト蒸留所(アイルサベイ)を併設している。さらに「ヘンドリックスジン」も生産している。

ノースブリティッシュ(North British) ローランド/エジンバラ

エドリントングループ、ディアジオ

現在では2大グループが株式を保有

インバーゴードン(Invergordon) 北ハイランド/インバーゴードン

エンペラードール

一時期モルトウイスキーのグレンウィヴィス(現在のハイランドにクラフト蒸留所で同名があるが全く別物。)も稼働していた

ロッホローモンド(Loch Lomond) 南ハイランド/アレキサンドリア

ヒルハウスキャピトルマネージメント

連続式蒸留機とポットスチルが同居し、ブレンディング、ボトリング設備を持っているため、独自の製造販売が可能。シングルモルトで複数のブランドを展開できるものこと設備あってこそ。

スターロー(Starlow) ローランド

ラ・マルケニケーズ

年間生産量は2500万ℓ。グレーンウイスキーニュートラルグレーンスピリッツの両方を生産。蒸留・熟成・ブレンディング・ボトリング設備あり。自社ブランド「ラベル5」の原酒となっている。

 

その他資格・検定用

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