Yaffee's Whisky Blog

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技術ナシで美味しい水割りが造れる「前割」!!ウイスキーの水割りに最適な水探してみました!!


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ウイスキーの水割りは手に入りやすい材料で作ることができる家飲みに最適な飲み方ですよね。

家庭でも手軽に作れる水割りですが

実は……

水割りは熟練のバーテンダーでも難しいカクテル!!

同じウイスキーでも技術・こだわり一つで全然違う味になります

 

それはなぜか?について解説していこうと思います。

 

また、技術なしにバーテンダーが作るような美味い水割りを作ることができる方法「前割」についても詳しくまとめていきます。

 

 

 

 

水割りがなぜ難しいのか?

 

水割りは氷を入れたグラスにウイスキーを入れ、水で割って作られます。

水(氷も水とします)、ウイスキーこの二つしか材料が入りません

 

つまり、ごまかしか効かないのです。水の味、ウイスキーの味、その二つが混ざり合っているかどうかが分かりやすく出てしまいます。

「そんなマニアックなことわからない。」「味の違いなんて分からない。」って思う方はぜひプロの水割りを味わってみてください!!(コロナ収束後になってしまいますが……。)

 

現に僕も多くの方から「料理人だからわかるのでしょう。」「ウイスキーを普段から飲んでいるからわかるのでしょう。」といわれてきました。

 

そこで僕の身近な人でもある家族に協力してもらって実験したことがあります。

 

水割りをひたすら練習して、そこそこプロの味に近づける水割りが作れるようになった時に、嫁、両親、義兄に水割りを提供しました。

父も義兄も普通のサラリーマンです。普段からウイスキーを飲みなれているわけではありません。

それでもみな、味の違いが分かりました

 

最初は冗談だと思われました。(笑)

「そんな混ぜ方だけで味が変わるわけが……」「料理やっているからわかると思うけど一般の人にとってはわからないでしょ」と。

 

しかし飲んでみたら「あれ??違う!!!」という反応が返ってきました。

 

 

 

うまく作れるとアルコールの厚み・飲みごたえそのまま、アルコールの刺激が薄れます。グラスからウイスキーの香りがふわっと広がるのです。

熟練の人の水割りはストレートで飲むより香りが広がっているぐらいです!

 

水割りは奥の深い世界です。

なぜこうなるのか研究論文を書いた人もいるようです。(しかし、決定的な所は様々な説があり、不明のままだとか……。)

 

 

水割りの理論をわかる範囲で解説

 

なぜウイスキーは水で割ると香りがよくなるのか

 

ウイスキーは99%が水とエタノールです。残りの1%程度に香味成分が含まれています。しかしこの香味成分は基本エタノールに溶け込んだ状態ウイスキー内に存在しています。

 

ウイスキーを水で割ることでエタノールに溶け込んでいた香味成分が液面に浮いてきて、香味成分が揮発していきます。するとより香りが引き立って感じるということです。

 

なぜプロの水割りはアルコールの嫌な刺激を感じないのか?

 

水割りでアルコール感を感じるのはただ「混ざっていないから」です。

 

実はアルコールと水は一般に想像しているよりずっと混ざりにくいもの。水に無水エタノール(99.5%程度のエタノール溶液、残り0.5%は水です。「100%ではないんだ」と思う人はここをクリック!!)を注ぐと簡単に二層に分かれます。

 

ウイスキーも同じでゆっくり水の上に注ぐと2層に分かれます。(これがフロートという飲み方です。)

 

それを無理やり水に溶かそうとしても簡単には溶けません。溶けているように見えてバラバラになっているだけです。

その場で作った水割りの、水とウイスキーをガチっと混ぜるためにはプロのテクニックが必要です。

 

実はプロセスはウイスキーの熟成中に起きることと似ているようです。

ウイスキーの熟成は樽の中で時間をかけて水とエタノールの会合という現象が起きます。

この会合とは、エタノールが水に取り込まれるような形で安定したクラスターが形成されます

このためアルコールの刺激が弱くなり、まろやかな口当たりになります。

このクラスターは熟成年数が長いほど多くなるそうです。

【難しい論文はこちら】

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/57/3/57_3_171/_pdf

 

 

つまり……

 

水とウイスキーを混ぜて時間をおいておけば、まろやかな口当たりは再現できる!!!

 

といった仮説が立てられるのではないでしょうか。

 

【過去に書いた水割りのこだわりポイントはこちら】

www.yaffee.work

 

【参考サイトはこちら】

なぜウイスキーは水割りにすると香り高くなるのか!?【youtube始めました】 | 有機化学論文研究所

 

 

技術なしにうまい水割りが作れる「前割」とは?

 

前の見出しで書いた仮説をもとに技術なしにうまい水割りが作れる方法を考えると、前もってウイスキーと水を割っておく「前割」がいい!!のではないかと考えました。(現にFacebookで水割りを研究されているグループも前割の実験を多くやっていました。)

 

ここで問題となるのは水で割っておいておける時間。要は賞味期限です。

アルコール度数が下がると香り成分が揮発し始めるわけですから、長く置きすぎては香りがなくなってしまうこともあると思います。

賞味期限に関しても実験しました。(実験までジャンプ!!)一例としてご参考にしてください!

 

水割りに最適な水は何か?(まず理論)

 

その前に水割りに最適な水について考察します。

 

【仕込み水についての記事はこちら】

www.yaffee.work

 

過去記事を読んでもらえたらわかると思いますが、ウイスキーの仕込み水は基本的には軟水が多いです。

そしてウイスキーはもともと加水されているものが多いですが、その水も多くは蒸留水(軟水)が多いです。つまり軟水が一番合いやすいということ。

 

硬度だけで分類するとしたら、

二番目に仕込み水として多いのは中硬水です。中硬水が次に合いやすく、硬水が一番合いにくいのではないかと仮説を立てました。

 

デュワーズの前割を主軸に最適な水を探す実験

 

今回用意したのは……

ウイスキー

 

デュワーズホワイトラベル

フルーティでバランスのいいブレンデッドスコッチです。

 

 

<ミネラルウォーター>

 

ミネラルウォーター

ファミマ津南(硬度17mg/L:軟水)

南アルプスの天然水(硬度30mg/L:軟水)

ボルヴィック(硬度60mg/L:軟水)

ファミマ霧島(硬度150mg/L:中硬水)

ソラン・デ・カプラス(硬度260mg/L:硬水)

エヴィアン(硬度304mg/L:硬水)

 

以上の6点です。

 

 

ウイスキーと水は1:3の比率で割ります。

 

水割りの黄金比率は1:2~2.5といわれていますが、これは氷の溶ける分も考えてのもの。
今回は水とウイスキーの混ざった物を冷蔵庫で寝かせることにしたので、氷の溶ける分は少いだろうと考えて1:3の比率にしました。 

 

テイスターは僕と嫁で行いました。

 前割一日目の結果

 

詳しい結果は表にまとめました。

 

 

名前  硬度(mg/L) 印象 前割1日目
津南 17 すっきりしている。どこか爽やかさを感じるぐらい滑らか。 すっきりしすぎている。香りがぼやけた感じ。香りが弱いからアルコール感が少し悪目立ちしてる。
南アルプスの天然水 30 クセがない。かなりクリアですっきり。雑味をほとんど感じない。 オレンジ、やミカンのような柑橘系の香りとすっきりした味わい。アルコールの厚みがありつつ、水と混ざり合っている。
ボルヴィック 60 すっきりはしているけど、ほんと若干の酸味?硬さや厚みはあまり感じないが、少しだけ飲みごたえがあるような気がする。 やや渋み。少し硬い感じはする。苦みと厚みがやや強め。
霧島 150 まとわりつく感じは少ないが、硬さを感じる。ややのど越しかある。どこかまろやか。 オレンジとリンゴのフルーティさに甘味と渋みのバランスがちょうどいい。お酒の満足感が残りつつ、口当たりがいい。
ソラン デ カブラス 260 硬さと酸味、えぐみがある。厚みのある味わい。まとわりつくまろやかさもある。 硬水の硬い感じがかなり残ってる。厚みとまとわりつく感じは強いからかお酒を飲んでいる飲みごたえがある。
エヴィアン 304 まとわりつく。口に入れたときにすぐに硬さを感じる。舌に残るまろやかさがある。 酸味が強く、最初の口当たりは微妙。そして後味が苦い。ただ中盤の香りだけはいい。

 

 

つまり1日目では、軟水でもややミネラル分が含まれているものから中硬水ぐらいが美味しいということが分かりました。つまりクリアすぎると抜けたような味わいになり、硬度が高すぎると、ウイスキーの味わいを邪魔するようです。

 

「前割」の賞味期限

 

では前割はいったいいつまで香りや味わいを保つことができるでしょうか。

そこで2日目と3日目も飲み比べてみました。

 

 

名前  硬度(mg/L) 2日目 3日目
津南 17 一日目より香りが開いている感じがする。すごいまろやかで飲みやすい。 昨日よりは香りが飛んでいる。まろやかさは健在。多分ここが限界。
南アルプスの天然水 30 すっきりしている。香りはとび気味。まろやかすぎ、飲みごたえが足りない。 まろやかなアルコールと水。ウイスキーの香りは楽しめない。
ボルヴィック 60 ボルディックはそこまで大きくは変化していないきがする。苦め。 香りが飛んだ。味わいもぼやけて水っぽい。
霧島 150 ぼやけた。香りが飛んで苦みが出てきた。 かなりぼやけた。香りがない。
ソラン デ カブラス 260 少しぼやけて香りが飛んでる感じ。厚みの弱くなっている。苦みだけそのまま残っている。 麦茶のような味わい。アルコール感は少なく、悪くはないかも。2日目と香りがそん色ない
エヴィアン 304 一日目より香りは残ったまままろやかさが出て、口当たりもよくなっている。 やや香りが残っている。味わいも強く残っていてまだ水割りとして保っている。

 

 

2日目

なんと一番硬度の低い軟水である津南と一番硬度の高いエヴィアンが美味しくなっていました。

正直仮説は崩れました。聞いた話では、もしかしたら「水分子の状態」ようは溶けやすい状態だったのではないかという意見が出ました。

より謎が深まりました。

 

3日目

今回は分かりやすい違いが生まれました。軟水、中硬水は味わい香りが飛んでいました。

硬水のほうが変化が少なく、香りがそこまで飛んでいないです。また硬水の滑らかな舌触りとウイスキーの厚みがうまくマッチして口当たりがよくなっています。

前割で日持ちさせるなら硬水がいいのかもしれないです。

この時点では前割は保存がきかないと思っていました。

 

「前割り焼酎」を参考にしてみました。

 

ここからは追加実験です。

 

 正直、ウイスキーの前割はSNS伝いで知った情報だったので、前割り焼酎についてくわしく知りませんでした。

 

 

 そこで今回は前割り焼酎に倣ってウイスキーの前割りを行うことにしました。

 

その前に「前割り焼酎」について

その名の通り、事前に水と焼酎を割ったもので、熟成期間は3日~1週間とまちまち。

1晩でもかなり変化はあるみたいですが、寝かせることで口当たりが柔らかく仕上がります。

 

 

「前割り焼酎」ポイントは

・冷蔵庫保管

・熟成3~7日

・水は軟水

・水:焼酎は4:6

 

だそうです。

 

ただし、注意点!!

作った本人とそのご家族以外での消費できないみたいなので、注意してください。酒税法:法43条11項より

 

ウイスキーの前割も1週間熟成させてみました!!

 

実験の準備は以前と同じ。

今回は香りが逃げないようラップでぐるぐる巻きにしました。(パラフィルムがあればよりいいのかも。)

 

ただ今回用意した水は前回と同じ「霧島」、「南アルプスの天然水」、Twitterのフォロワーさんからいただきました「日田天領水」、「阿蘇の天然水」です。

 

1週間後

 

 

 

結果はこのような感じでした。

 

 

1週間寝かせたほうが段違いにおいしいです。特に開けたての香りはウイスキーストレートより爆発的に広がる気がします。

 

しかし焼酎より圧倒的に揮発成分が多いためか、一度開けてしまうと香りが抜けやすく、ぼやけやすいのは欠点かなと思います。

 

ウイスキー前割りを行うのであれば、4~1週間程度全く開けないで熟成させるのが一番いいと思います。

 

あとがき。 

 

このようなウイスキーを使った実験で「ステイホーム」を楽しむのもいいのではないでしょうか。

ぜひ一度ご家庭でも試してみてください!

もし研究されたときはぜひコメントにて結果を教えて頂けるとありがたいです。

お待ちしております!! 

 

最後まで今回の記事を読んでいただきありがとうございます。

ご家庭で水割りを美味しく作る実験の話いかがだったでしょうか。

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今回の実験で使った水

 

 

 

 


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