蒸留所データ
創業……1897年
創業者……アレクサンダー・エドワード
オーナー会社……バカルディ
年間生産量(100%アルコール換算)……320万ℓ
仕込み水……ファギーモスの泉
使用麦芽……ノンピート
発酵槽……カラマツ製
ポットスチル……初留釜2基、再留釜2基
生産区分……スペイサイド
オルトモア Aultmore蒸留所について
オルトモアはゲール語で「大きな川」という意味だそうです。
VAT69、デュワーズ、ジョニーウォーカー黒ラベルといったブレンデッド・スコッチ・ウイスキーの原酒として使用されています。
特にデュワーズのキーモルト(※トップドレッシング)のひとつとして有名です。
※トップドレッシングとは……
ブレンデッドウイスキーの味わいに深みを与える特に重要なモルトウイスキーのことを言います。
有名なところでいうとマッカランがトップドレッシングとして多くのブレンダーから支持を得ていたようです。
今ではどうかわかりませんが……。
スコットランドのウイスキー産業内でトップクラスと評価される12のモルトの内の一つだそうです。(ほかの11が何なのか気になる。。)
そのストーリー、こだわりを見ていこうと思います。
オルトモア Aultmoreのストーリー
1897年にアレクサンダー・エドワードが、スコットランド・スペイサイド地区の「フォギー・モス(霧が深い湿地)」と呼ばれる秘境にこの蒸留所をつくりました。
自然豊かなこの湿地に誇りを持っているらしく、ラベルに「AULTMORE of the FOGGIE MOSS」と書かれています。
この地を選んだ理由は、ここが密造酒の中心地だったからだそうです。
当時、アレクサンダー・エドワードは父とともにベンリネス蒸留所を経営、ホワイトホースを作った男ピーター・マッキーと共同でクライゲラキ蒸留所を設立など、やり手のベテラン蒸留家だったそうです。
そんなやり手の彼が、1895年ヴィクトリア時代後期、ウイスキーブームがピークの時にこの蒸留所の設立を決めました。
はじめはスペイサイドのほかの蒸留所に倣って「オルトモア・グレンリベット・ディスディラリー」と名乗っていたそう。
谷(グレン)からは遠く離れていたのですが……。
操業開始後すぐに生産力を2倍に!
大手ブレンダーから認められ、スペイサイドモルトとしての確固たる地位を築いた行きます。
1898年この時に蒸留所に蒸気機関を導入。なんとメンテナンスの時以外は24時間稼働していたそうです。
1970年の大改修の時には撤去されましたが、歴史的資料として今でも蒸留所に展示されているみたいです。
1923年にはジョン・デュワー&サンズ社の傘下に。
3年後にはジョン・デュワー&サンズ社が最大手DCL社(現ディアジオ社)に買収されたことでオルトモアもDCL社所有となります。
そして1998年DCLの子会社となっていたジョン・デュワー&サンズ社ごとバカルディ社が買収。
以来バカルディ社所有の元、ウイスキー界のプロに人気の高いモルトウイスキーを作り続けています。
オルトモア Aultmoreのこだわりの製法
オルトモア蒸留所で使用されるモルトはノンピート。
そしてフォギー・モスの泉という水から仕込み水を得ています。
このフォギー・モスは泥炭地にあり、この仕込み水のピートな香りがついているそう。
感じる人にはこのオルトモアにもピートのニュアンスが感じられるみたいで、ノンピートなのにピートを感じるのはこの仕込み水が影響しているといわれています。
糖化槽マッシュタンがステンレス製、発酵槽マッシュタンはカラ松製の木桶。
実はこのオルトモア蒸留所は「廃液処理のパイオニア」という顔があります。
ウイスキーの蒸留所に最初にエコロジーを取り入れた蒸留所だそうです。
ウイスキーの蒸留を行うと、糖化時の搾りかす(ドラフ)、蒸留廃液(ポットエール、スペントリース)という「ウイスキー粕」のようなものが生まれます。
そのまま処理をせず、垂れ流してしまうと環境破壊につながります。
実は長いことこの問題は未解決のままウイスキーは作られていました。
オルトモア蒸留所が1952年この「ウイスキー粕」を利用して「ダークグレーン」と呼ばれる家畜用の飼料を作り出すことに成功。
以来多くの蒸留所で採用され、今ではウイスキー蒸留所の必須設備となっているそうです。
ラインナップ
オルトモア12年
人によってはやや若さが気になるとは思いますが、モモや青梅、レモネードなどの爽やかな香りが特徴的だと思います。口当たりがよく、フルーティな味わいが口いっぱいに広がります。フレッシュな気分を味わいたいときにぜひ!!
最後まで今回の記事を読んでいただきありがとうございます。
オルトモアの話いかがだったでしょうか
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