本日もお越し頂きありがとうございます。
ウイスキーを愛する料理人yaffeeです。
今回のテーマは「グレーンウイスキー」について!!
グレーンウイスキーは、モルトウイスキーとブレンドしてブレンデッドウイスキーに使われることがほとんどです。
そのため、よくこんな意見を聞きます。
『グレーンウイスキーは個性が乏しく、単体ではモルトウイスキーに劣るウイスキー』
確かに様々な視点から見ても、モルトウイスキーの方が優れているという見方はあると思います。
かといってグレーンウイスキーも決して劣っているわけではありません!!
作り方次第で、個性豊かなグレーンウイスキーとなります!!
そして、
「グレーンウイスキーはモルトウイスキーより劣っている」
といっている人にぜひ飲んで感動してもらいたいグレーンウイスキーはたくさんリリースされています!!
そこで今回、グレーンウイスキーについてまとめつつ、おすすめのグレーンウイスキーを紹介していこうと思います!!
はじめに……
グレーンウイスキーに対する「偏見」
- 「グレーンウイスキーは、無個性。」
- 「グレーンウイスキーは、モルトウイスキーに大きく劣る。」
- 「グレーンウイスキーは、所詮ブレンデッドウイスキーの価格と個性調整に入れているもの。」
このような話、ウイスキー好きの方から聞いたことないでしょうか?
お恥ずかしながら、グレーンウイスキーというものを全然よくわかっていなかった時、僕もこのように思っていました。
「シングルモルトすごい!」「モルトウイスキーこそウイスキー」とまで……。
そして「モルトウイスキーの個性がバランスよく楽しめるブレンデッドウイスキー」
こう思っていた時期もあります。
つまり、
バランスよく楽しめるけど、
所詮グレーンウイスキーの混ざって個性が薄まったブレンデッドウイスキー。
グレーンウイスキーなんて単体では飲めないもの。
一時期は、こんなことを思っていたガチガチのモルト至高主義でした。
ところが!!
- 知多蒸留所の見学
- 富士御殿場蒸留所の見学
- 長期熟成ものもグレーンウイスキーとの出会い。
を経て、自分の中でグレーンウイスキーへの価値が大きく変わりました。
グレーンウイスキーは、個性の乏しいウイスキーではない!!
今では最終的にこう思います。
「グレーンウイスキーの個性が乏しい」とよく言われているのは、
『ブレンデッド用のグレーンウイスキーがクリーンな味わいになるように作っているだけ』
です。
前記したようにグレーンウイスキーのほとんどがブレンデッドウイスキー用です。
「シングルグレーン(単一蒸留所のグレーンウイスキー)」をリリースしている蒸留所でも、生産のほとんどがブレンデッドウイスキー用。
そのため、クリーンな味わいのグレーンウイスキーがほとんどとなります。
ただし、作り方を少し変えるだけで、グレーンウイスキーは大きく個性が変わります!!
ヘビーなタイプのグレーンウイスキーを造ることも
ミディアムタイプのグレーンウイスキーを造ることも可能です!!
そこでまず「グレーンウイスキーとは?」からグレーンウイスキーの作り方から解説していこうと思います!!
グレーンウイスキーとは?
穀物を原料とした蒸留酒『ウイスキー』。
その中で、大麦麦芽のみを使用したものがモルトウイスキー。
それ以外の穀物も使用したものがグレーンウイスキーといいます。
グレーンウイスキーの主な原料は、無発芽の大麦や小麦・トウモロコシ・ライ麦などです。
そして、それらの穀物を大麦麦芽で糖化させて発酵。
基本的には連続式蒸留機で蒸留していきます。
そして樽で熟成させたウイスキーがグレーンウイスキー。
実は、
- アメリカンのバーボンウイスキーやテネシーウイスキー
- アイリッシュのポットスチルウイスキー
- カナディアンのフレーバリングウイスキーやベースウイスキー
もしスコットランドでこれらのウイスキーを作ったとしたら、「グレーンウイスキー」の規格に当てはまります。
ただこれらのウイスキーは、スコッチのグレーンウイスキーとは少し異なる製法で作られています。
つまり、
ちょっと製法が変わるだけで、バーボンのように濃い味わいのウイスキーにもなるのがグレーンウイスキー!!
ただグレーンウイスキーのほとんどは、ブレンデッドウイスキーのブレンド用に使われます。
一般的によく見るブレンデッドウイスキーは、モルトウイスキー:グレーンウイスキーが3:7程度。
70%程度はグレーンウイスキーとなります。
もしグレーンウイスキーの個性がバーボンのように強かったとしたらどうでしょうか。
モルトウイスキーの個性やバランスなどすべてを台無しにしてしまいますよね。
個人的にあるブレンデッドウイスキーがこの感想です。
明らかにバーボンをブレンドしたことでバーボンの味に引っ張られています。
しかも「薄まった中途半端なバーボン」といった印象です。
グレーンウイスキーの作り方
それでは、「グレーンウイスキーの作り方」を詳しく解説していこうと思います!!
グレーンウイスキーの原料
グレーンウイスキーは、モルト以外の穀物が主原料。
トウモロコシや小麦、未発芽の大麦が使われることが多いです。
バーボンウイスキーやアイリッシュポットスチルウイスキーの場合、この原料の個性が重要視されています。
そのため、原料の最低使用比率は法で定められていて、レシピを公開している蒸留所も多いです。
ただ日本やスコットランドのグレーンウイスキーでは、主にブレンデッドウイスキーに使われます。
そのため、「入手できる原料の単価」が重要。
僕の知る限りでは、レシピを公開している蒸留所はありません。
ただ、モルト以外の穀物だけではでんぷんを糖に変える「糖化」という作業ができません。
必ず穀物のでんぷんを糖に変えるための『酵素材』としてモルトが必要となってきます。
およそ全体量の10~20%程度です。
この時、「六条大麦」という普段モルトウイスキーでは使われることの少ない大麦の麦芽がよく使われます。
その理由は、「酵素力が強いから」。
六条大麦はたんぱく質が多く、酵素力が強い特性があります。
でんぷんやエキス分が少ないので、モルトウイスキーに使われることは少ないですが、
グレーンウイスキーやバーボンなどの糖化には、酵素力の強い「六条大麦」が使われます。
「グレーン、モルト」と書いてあります。これは、原料にモルト(麦芽)を使っているからです。
「モルトウイスキー」という意味ではないです。
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グレーンウイスキーの作り方 「クッキング」・「糖化」
「クッキング」とは……
大雑把に説明すると「温水を加え圧力釜で煮る」という作業。
トウモロコシや未発芽の麦はそのままの状態では、
「糖化」にかなりの時間がかかってしまったり、
「糖化」できなかったり……。
圧力をかけて高温で処理することで、細胞壁などが壊れるので「溶けの良い」状態になります。
この「溶けの良い」状態にすることが、「クッキング」のポイントです!!
これは大麦麦芽の酵素の力を失ってしまわないようにするためです。
酵素は、高温では失活してしまいます。
そうなると糖化できなくなってしまうので、一度酵素が働きやすい温度まで冷まさないといけません。
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グレーンウイスキーの作り方 「発酵」
日本では原酒交換が行われることは少ないです。
ビールの知識や経験を生かして、多彩な酵母を使い分けています!!
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平均的にモルトウイスキーよりアルコール度数がやや高いぐらいで発酵させていきます。
グレーンウイスキーの作り方 「蒸留」

単純により純粋なアルコールに近い留液を得ることができるということ。
反対に、アルコール度数を低く蒸留すれば、原料由来のフレーバーを残すことができます
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グレーンウイスキー 「貯蔵・熟成」
プレーンカスクとは……
3~4回ほど熟成に使われ、樽材成分がほぼ出終わった状態の樽のこと。
樽の個性が出にくいので、個性の少ない原酒を作るときに用いられます。
知多蒸留所では「ワイン樽熟成」の知多がアクセントに使われています。
作られることが多いウイスキー』
おすすめのグレーンウイスキー
それでは、僕がおすすめしたいグレーンウイスキーを紹介していこうと思います!!
低価格帯(~3000円台) ライトに楽しみたいおすすめのグレーンウイスキー
知多蒸留所の原酒で作ったシングルグレーンウイスキー!!
知多蒸留所の原酒の中でも、様々なタイプの原酒をブレンドしています。
ストレートでは軽やかに楽しめる味わいの中に複雑さも感じられ、ハイボールなら風が吹き抜けるような爽やかな味わいを楽しむことができます!!
価格帯 | 3000~4000円 |
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アルコール度数 | 43% |
容量 | 700ml |
特徴 | 飲みやすいデイリーグレーンウイスキー |
原産国 | 日本 |
バニラやクリーム、レモンピールとほのかに出汁のような旨味を感じる一本。
個人的に知多の最大の魅力は料理に合わせやすいことです。
モルトの個性を生かすグレーンウイスキーの特性を活かしています!!
グレーンウイスキーですがちょっと特殊なグレーンウイスキー
実は、原料は大麦麦芽のみ。
ただ蒸留器がポットスチルではなく、連続式蒸留機を使用。
そのため、「グレーンウイスキー」となっています。
スパイシーさと豊かな甘み。そしてモルトにザラメのような甘い香りが特徴。
ストレートでもハイボールでもオススメな一本です!
価格帯 | 2000~3000円 |
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アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
特徴 | 全英オープン公式ウイスキーのシングルグレーン |
原産国 | スコットランド |
しっかりとしたコクがありつつ、飲みやすいスムースさもあるバランスのいいウイスキー!!
グレーンウイスキーという名だけで、受け入れがたくなってしまうのは本当にもったいないなと思う一本です。
スコッチのグレーンウイスキーを味わってみたい方はコレ!!
スッキリとした飲み口にしっかりめの甘み、バランスがよく飲みやすいです!
特にハイボールにすると爽やかさがより活きるかと思います!
価格帯 | 2000~3000円 |
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アルコール度数 | 40% |
容量 | 700ml |
特徴 | 1824年創業の老舗グレーンウイスキー蒸留所のウイスキー |
原産国 | スコットランド |
スコットランドで歴史あるグレーン蒸留所!!
爽快でフレッシュな飲み口の奥に、コクがあります!
いろいろなおつまみに合わせやすい日々の晩酌におすすめな一本です!
中価格帯(4000円~6000円台) まったり楽しみたいおすすめのグレーンウイスキー
キリンの富士御殿場蒸留所で造られた「シングルグレーンウイスキー」!!
この蒸留所はグレーンウイスキーへのこだわりが特に強いです。
スコッチタイプ、バーボンタイプ、カナディアンタイプの蒸留機を使い分け多彩な原酒を作っています。
カラメルのような濃厚なフレーバーに焦がした木。そして優しい舌触りが特徴。
まったりと楽しみたいシングルグレーンウイスキーです。
価格帯 | 5000~6000円 |
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アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
特徴 | キリンのシングルグレーンウイスキー |
原産国 | 日本 |
複雑で濃厚なグレーンウイスキー!!
キリンがリリースしているウイスキーの中で、この一本だけが『whiskey』と『e』の入る綴りとなっています。
また、瓶の底には富士山が!!
隠し要素の多いウイスキーです!!
カラメル香と濃厚なフレーバーが特徴の至高のグレーンウイスキー!!
ニッカの持っている連続式蒸留機「カフェ式スチル(コフィー式スチル)」で作られたウイスキーで、特にしっかりとしたコクがあります!!
バランスも良く、まったりと楽しめる秀逸なグレーンウイスキーです!
価格帯 | 6000~7000円(現在の最安値程度) |
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アルコール度数 | 45% |
容量 | 700ml |
特徴 | カフェ式スチルで作られたグレーンウイスキー |
原産国 | 日本 |
残念ながら終売となってしまいましたが、本当に秀逸なグレーンウイスキーです。
まるでプリンの底のような甘く濃厚なカラメル香が特徴。
個人的には、市場に戻ってきてほしいジャパニーズウイスキーのトップです。
不死鳥のようにダブリンに誕生したティーリング蒸留所!!
アイリッシュウイスキー復活の象徴ともいえるウイスキーで、バランスが特にいいです!!
カラメル香の深いフレーバーと優しい飲み口。
余韻も長め。
まったりウイスキーを楽しみたい方に特にオススメなグレーンウイスキーです。
価格帯 | 4000~5000円 |
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アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
特徴 | ダブリンにいる不死鳥 |
原産国 | アイルランド |
カラメル香が特徴でスパイシーさとスムース感が楽しめるアイリッシュグレーンウイスキー!!
休日前のまったり楽しみたい晩酌にピッタリな一本です!
グレーンウイスキーの良さが活きているブレンデッドウイスキー!!
「コク」と「甘み」のあるジャパニーズウイスキーなら断トツにコレ!!
バーボンのようなコクにスコッチの華やかな香り、そしてカナディアンやジャパニーズの繊細なバランスでのまとまりが特徴。
グレーンウイスキー主体で味わいを構成し、モルトウイスキーでフレーバーを広げていく珍しい作り方をしているブレンデッドウイスキー!
唯一無二のジャパニーズウイスキーです!!
価格帯 | 4000~5000円 |
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アルコール度数 | 50% |
容量 | 700ml |
特徴 | 熟成のピークを迎えたウイスキー |
原産国 | 日本 |
ヘビーなグレーンウイスキーを使用しているため、カラメル香が特に強いことが特徴です。ハイボールや水割りなら食事に合わせやすく、ロックやストレートならウイスキー単体で楽しめる一本です。
最後に……
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか。
「グレーンウイスキー」というとウイスキーの中で最も偏見があると思います。
実際自分も一時期グレーンウイスキーを下に見ていました。
今回長期熟成物のグレーンウイスキーの紹介は省いてしまいましたが、
そういった長期熟成物のグレーンウイスキーはすっごくおいしいです!!
芳醇さとバランスのいい味わいが特に……
こういったウイスキーはぜひBARで注文してみてください!!「感動」に出会えると思います!
個人的にはモルトウイスキーが好きですが、今後のグレーンウイスキーに可能性を感じています。
美味しいグレーンウイスキーが広まっていき、様々なところでグレーンウイスキーがリリースされるようになってほしいと思います。
そうしたらよりウイスキーの楽しみ方が広まっていくのではないでしょうか?
そんなことを思いつつ今日もウイスキーを嗜んでいこうと思います。
それでは良いウイスキーライフを!!
また次回もよろしくお願いします!!

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