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ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o)
今回のお話は「蒸留、そして蒸留器」について!!
ウイスキー(蒸留酒)造りにとって蒸留器、スチルと蒸留作業は『要』といっていい作業です!
料理でいえば火入れ作業のようなものです。
火を入れすぎたら焦げたりぼそぼその食感になったりしますよね。
反対に火入れを怠れば生臭かったり、食感が気持ち悪くなったり……。
そして何で火入れを行うかによって仕上がりが大きく変わります。
例えば、フライパンで焼くのか、オーブンで焼くのか、蒸し器で蒸すのか……。
前後の工程を生かすも殺すもこの作業が担ってますし、その後どういった味わいのウイスキーを求めるのかで作業の仕方が変わってきます!!
そこでウイスキーにとって大事な作業「蒸留」を蒸留器(スチル)にフォーカスしてまとめていこうと思います。
ウイスキーと酵母・微生物 ウイスキーは酵母や菌に支えている!?
最初に「蒸留」について解説
蒸留とは、混ざりあっている液体を沸騰する温度の違いによって分ける・凝縮させる方法のことです。
水とアルコールの場合、水が約100℃で沸騰するのに対して、アルコールは78.3℃で気体になります。
極端に言うと水とアルコールの混ざった液体を78.3℃で加熱して、その蒸気を集めればアルコールと水を分けることができるということです。
そして、この蒸留は蒸留回数が増えるほど、アルコールは濃縮されていきます。
スコッチモルトウイスキーでは大体2回、アイリッシュウイスキーでは3回の蒸留。
スコッチの場合、2回目の蒸留後に得られるニューポットは大体アルコール度数65~75%ぐらいです。
対してアイリッシュウイスキーのように3回蒸留を行っている蒸留所では、大体アルコール度数80%程度となっています。
ただし、実はどんなに頑張っても蒸留では100%アルコールというのは基本的に作ることができません!
アルコールと水の混合液はアルコール度数96%程度までしか濃縮できないのです。
その理由は、アルコール度数96%の水とエタノールの混合液では「共沸」してしまうからです。
沸点が同じになってしまい、これ以上濃縮することができなくなってしまいます。
「ふ~ん、そうなんだ~」程度にとらえてもらえるとありがたいです(笑)。
ただ、蒸留で分けられるものは、水とアルコールだけではありません。
同じように香味成分も蒸留によって分けることができます。
気体になりにくい成分は残り、気体になりやすい成分は留液に混ざりやすい。
ウイスキー造りでは、この沸点の違いを利用して香りの選択をしている作業とも言えます。
ウイスキーの蒸留方法は基本2種類です。
単式蒸留と連続式蒸留でそれぞれ蒸留器が違います。
その違いから見ていこうと思います。
単式蒸留器(ポットスチル)と連続式蒸留機の違い
蒸留器には、大きく二種類あります。
単式蒸留器(ポットスチル)と連続式蒸留機です。
ポットスチルは一回ずつしか蒸留できない伝統的な蒸留器。
対して連続式蒸留機は発酵もろみを連続的に蒸留できる近代的な機械のこと。
実は、伝統的な単式蒸留器(ポットスチル)と近代的な連続式蒸留機では出来上がるウイスキーは全く違うものが出来上がります。
単式蒸留器(ポットスチル)はモルトウイスキーに多く使われる蒸留器で、個性が残りやすいです。
反対に連続式蒸留機はグレーンウイスキーやバーボンウイスキーによく使われる蒸留機で、比較的クリーンな酒質に仕上がりやすいです。
たい焼きを例に挙げると……
単式蒸留器が屋台でおじさんが一個一個造るたい焼きで、連続式蒸留機が工場で一日に数千個も作れるたい焼きかの違いのようなもの。
屋台はすごくおいしいものが多いと思いますが、外れな所もあったりしますよね。
それだったら安定して安い工場製品のほうが、と思う人も多いと思います。
伝統の単式蒸留のここがいい!
単式蒸留器の特徴は、個性が出やすいこと。
そのため、各蒸留所のこだわりポイントが分かりやすいことが一番だと思います。
ポットスチルでの蒸留は職人たちの腕に大きく左右されるそうです。
その分味わいの違いや個性、こだわりポイントがわかりやすいと思います。
しかし再びたい焼きを例に戻すと、店頭で作っているたい焼きでもチェーン展開し、どこでも同じ味に作っているところもありますよね。
ウイスキーでも同じことが言えます。
ボタン一つのコンピューター制御で安定した同じような味を作る近代的な蒸留所も増えてきているようです。
ただ主にシングルモルトをメインとしている蒸留所は今でも職人気質な伝統製法を守っているところが多いです。
近代の連続式蒸留機のここがいい!
連続式蒸留器は、たとえるならベルトコンベヤーで流れ作業のように作られていく工場製品のようなものだと思ってください。
その一番のメリットは、安定感。
ブレンデッドの安定感と飲みやすさはグレーンウイスキーが支えていると思います。
そしてその安定感は連続式蒸留機の賜物。
連続式蒸留機というと近代的、非人道的なイメージが強いと思います。
連続式蒸留機から作られているシングルグレーン知多。
その知多蒸留所も外から見ただけでは、ウイスキーを造っている蒸留所というより、「工場」のような見た目です。
けれど、知多蒸留所では常に人がチェックし微調節しながら稼働していました。
モルトウイスキーに多い、単式蒸留とは??
伝統的な単式蒸留は基本モルトウイスキーで行われます。
モルトウイスキーで有名なスコットランドでは、単式蒸留器で2回蒸留をして作られることが多いです。
初めの蒸留を「初留」といい、2回目の蒸留を「再留」といいます。
それぞれの「アルコール分を濃縮する」以外に大事な役割があります。
その役割について見ていこうと思います!
初留の役割
- アルコールの濃縮
- 新しい香味をつける
- オフフレーバーや固形分の除去
『新しい香味をつける』とは?
ウイスキーの一回目の蒸留「初留」では、様々な化学反応が起きています。
その反応の中に料理人やパティシエ、パン職人などの間では一般的な化学反応「メイラード反応」というものがあります。
メイラード反応とは、「糖分とアミノ酸が加熱によって起きる反応こと」。
糖分とアミノ酸を加熱すると香ばしい香りと色が付きます。
身近なものなら「焼き菓子」!!
焼き菓子の香りって香ばしくていい香りがすると思います。
それがメイラード反応によることが多いです。
他にも「焼肉」、「パンの焼ける香り」などなど
こういった香りってそれぞれ違いはありますが、好きな方多いと思います。
この反応がポットスチルの初留の時にも起きています。特に直火加熱の時は顕著です。
発酵工程で、アルコールや乳酸に変わることのなかった糖分と、死滅した酵母や麦芽由来のアミノ酸。
こういったのもが『メイラード反応』を起こして「いい香り」をつけてくれます。
他にも蒸留中は様々な反応が起きます。
- アルコールと有機酸が反応するエステル化反応(フルーティな香りなどが生成されます)。
- 熱分解によって生じるダマセノン
などなど
複雑な化学反応が発生しながらモロミは蒸留され、一回目の蒸留液(ローワイン)が生まれます。
『オフフレーバーや固形分の除去』とは?
ポットスチルの材質である銅が、嫌な香りの元となりやすい硫黄成分を除去してくれます。
すると、クセの少ないスッキリとした味わいのお酒になりやすいです。
また、蒸留を行うことで固形分や不純物などを取り除くことができます。
ただ、初留では、固形分や不純物・沸騰しにくい成分などが蒸留後の液体に混ざることがあるそう。
これは初留中に起きる「泡沫相(泡立ち)」という現象が大きく関係しています。
日常で例えると、牛乳を鍋で沸かしたときのような感じだと思います。
牛乳を鍋で沸かすと、一気に泡立って吹きこぼれることありますよね?
ウイスキーも同じようにしっかりと見ていないと、初留中吹きこぼれに近い状態になってしまいます。
また吹きこぼれなくても、泡立った液体が周りに飛び散るように、蒸留液に混ざっていくことがあります。
蒸留中も同じように泡が弾けることで、その泡に乗った固形物や高い沸点の成分が飛んでいくのです。
それがウイスキーにいい影響を及ぼすときもあるし、悪い影響を及ぼすとき時もあります。
目視でも泡立ちを確認するため、初留釜には「窓」が取り付けられています。
再留の役割
- アルコールの濃縮
- 香味成分の濃縮
- 香味成分の選択
『香味の選択』
再留で最も重要となるのが香味成分の選択です
初留になく、再留にある最も大きい作業に「ミドルカット」という作業があります。
蒸留で出てくる留液は最初の方に出てくる液体と後の方に出てくる液体では成分が全然違います。
最初の方が華やかな香りの成分が多くアルコール度数も高いです。
対して後の方は重くオイリーな成分が多くアルコール度数が低くなります。
どういった味を求めるかによって蒸留所ごとカットしているのです。
例えば、華やかな香り・フレーバーを求めるなら初めの方に出てくる留液を多めにカットします。
後の部分は、一回目の蒸留の時の蒸留液(ローワイン)に混ぜて、次の再留に回されます。
「ミドルカット」の位置という超マニアックな場所を見ていくと、その蒸留所が最終的にどういう香味にしたいかがある程度わかってきます。
平均的なミドルカットの位置はアルコール度数75~60%。
最終的なニューポット(熟成前のウイスキー)のアルコール度数は69%ぐらいになることが多いです。
そして、ウイスキーの場合、大体ミドルカットを行って次の蒸留に回される原酒は、もろみに対してたったの10%程度です。
ただ例えばグレンアラヒー蒸留所のように、ノンピートがアルコール度数74~62%、ピートタイプが74~58%と、同じ蒸留所でも原酒のタイプ次第で変えているところもあります。
特にピートの香りは、後(テール)寄りに出てくる香りなのでピート香を生かしたい蒸留所は後寄りにすることが多いです。
単式蒸留器(ポットスチル)について
ポットスチルの構造は大きいやかんと同じようなものです。
液体を入れるボティという部分。
蒸気が通るやかんの注ぎ口のようなヘッド、ラインアームという部分。
蒸気を冷やして液体に戻すコンデンサー(冷却装置)
といった構造になっています。
この一つ一つの部分の違いで出来上がるウイスキーは大きく変わります。
ポットスチルのポイントは「還流」!!
味わいが大きく変わるポイントは還流です!
還流とはポットスチル内で気化した蒸気が再び液体になって戻ってくること。
フタをした鍋を想像してください。
フタの穴から蒸気が出てきますよね。
ガラス製のフタならわかりやすいですが、フタについた蒸気が雫になって鍋の中戻っていくことも同時に起きていると思います。
その現象がポットスチル内でも起きていています。そしてこの雫となって戻っていく現象を「還流」といいます。
還流が起きるとなぜ味わいが変わるのか。
還流が起きることで、揮発しやすい成分と揮発しにくい成分をより分けやすくなります。
つまり還流が起きることで留液はライトになるわけです。
小さく一滴単位で再び蒸留しているような状態と考えたらわかりやすいかもしれません。
グレングラントやアードベッグのポットスチルについている精留器という「アルコールを磨く器具」が取り付けられています。
これも還流を促すシステム。
この装置により重たい味わいとなる成分をカットされていきます。
材質の違いで味が変わる!!
基本的にポットスチルの素材は「銅」です。
むしろスコットランドでは「銅製」以外のポットスチルは認められていません。
なぜ銅製なのでしょうか??
その理由に触れていこうと思います!!
ポットスチルが銅製の理由
ポットスチルの材質は基本的に銅製です。それは銅には触媒効果があるからです。
簡単に言うと嫌な香り、味わいを取り除いてくれる効果があります。
その嫌な香り、味わいの一つに硫黄があります。
小学校、中学校の理科の実験で硫黄が出たとき臭かったですよね。
あの匂いも穀物原料のウイスキーには含まれています。
硫黄はヘビーな味わいの元。これを銅の効果によって削減することができます。
ただ間違えてはいけないのが『硫黄は「悪」すべて取り除くべきもの!』ではありません。
硫黄成分がウイスキーに厚みを持たせることもありますし、香りをまとめているときもあります。
香水の話ですが、実は香水はいい香り、人にいい印象を与える香り成分だけで造られているものはほとんどないそうです。
汗の香りや硫黄の香り、刺激臭など嫌な印象を与える香りが含まれているそうです。
簡単に言うと、良い香りのまとまりの中に少しの嫌な香りが含まれると「ものすごくいい香り」になるそうです。
それが畜産農場でも応用されていたり……。
つまり伝統的な銅製のポットスチルはオフフレーバーを程よく削減し、程よく残してくれる優秀な器具だと思います。
銅以外の変わり種スチル
鋳物スチル 三郎丸蒸留所
富山県に新しくできたウイスキー蒸留所『三郎丸蒸留所』。富山県は鋳物製造でも有名です。
そこで世界初の鋳物スチルを造ったそう。
鋳物は銅と錫を混ぜた銅合金です。
もしかしたら銅と同じような効果があるのかもと思った蒸留所の経営者・稲取さんはステンレス製、銅製、銅合金製の3つの実験用スチルをつくって実験したそうです。
すると銅と銅合金に大差がないという結果が出ました。
さらに鋳物は型にはめて作るので、表面に凹凸があり、蒸気と銅合金とのコンタクトが大きくなることが分借りました。
つまり通常のポットスチルよりまろやかに仕上がる可能性を秘めているということです。
鋳物は型があればいくらでも再現でき、厚みもあるので寿命が長くコスト削減も期待できるそうです。
もしかしたら日本独自のポットスチルとして根付いていくかもしれないですね。
ステンレススチル(減圧蒸留器) 焼酎
焼酎には常圧蒸留と減圧蒸留の二つの作り方があります。
常圧蒸留はウイスキーと同じ蒸留方法です。
それに対して減圧蒸留は圧力を抜いて蒸留を行う方法です。
減圧させて加熱することで沸点を下げることができます。(40~50℃で沸騰するそうです。)
低い温度で沸騰するということは高い沸点の重たい成分が蒸留されにくいということ、すっきりとした味わいになるそうです。
現に魔王、富乃宝山、いいちこなどは減圧蒸留ですが、すっきりめの味わいだと思います。
ではなぜステンレスか?
実は銅では加圧に耐えられないからだそうです。
銅はステンレスより柔らかいため、減圧により変形してしまいます。
そのため銅のスチルで減圧蒸留はできません。
実は富士御殿場蒸留所にステンレス減圧蒸留器があります。
モルトウイスキーを減圧蒸留で実験したことがあるそうですが、硫黄臭や雑味が多すぎて失敗に終わったのだとか……。
やはり、モルトウイスキーには、銅の触媒効果が必要だそうです
ちなみにグレーンウイスキーの連続式蒸留機は減圧蒸留でおこなうところが多いようです。
木製スチル ガイアナ、ダイアモンド(デメララ)蒸留所
ウイスキーの蒸留所ではありませんが、ラムの名酒「エルドラド」を作っている蒸留所では木製のスチルを使っています。
ラムバーでこの蒸留所が木製蒸留器だと聞いて、どういうこと??ってなりました。ww
最も異質な蒸留器だと思います。
木製の桶に金属製のヘッド、ネックがついた形をしています。
持っているのは
単式蒸留の木製スチル、二連式木製スチル、木製のコフィ式スチルだそうです。(実際に見てみたいですね。)
ほかにも金属製のスチルもありそうです。
ここから独特のエルドラドのコクや香り、ヘビーさが生まれているかなと思います。
知る人ぞ知るラムの銘酒「エルドラド」
その中でも特に一度飲んだ人を虜にする逸品が「エルドラド 15年」です。
深いコクのある味わいにしっかりとした熟成感。
そしてやや野性味のあるフレーバーが特徴。
20~30年物のグレーンウイスキーを彷彿させるうまさ!
ぜひウイスキー好きは一度飲んでほしい一本です!
価格帯 | 6000~7000円 |
---|---|
アルコール度数 | 43% |
容量 | 700ml |
特徴 | 木製蒸留器で蒸留されたラム |
原産国 | ガイアナ共和国 |
アロマ | 5 |
フレーバー | 4.8 |
余韻 | 5 |
加熱方法の違いで味が変わる!!
スチルの加熱方法には2タイプがあります。
- 直火加熱
- 間接加熱
直火加熱は伝統的な製法で、昔は石炭を燃料に直火で蒸留する蒸留所がほとんどでした。
今ではほとんどが間接加熱です。
今でも石炭加熱を行う蒸留所は余市ぐらいなもの。
ただ新しくできた静岡蒸留所は薪で、加熱行う世界唯一のスチルを持っています。
トーストしたような香ばしく香りが特徴的でした。
基本的に直火加熱はフルボディ、間接加熱はライトボディになりやすいといわれています。
直火加熱は高い温度で加熱するので、ヘビーになりやすいです。
また、焦げ付きができるので、トーストしたような香ばしい香りがつきやすいです。
反対に間接加熱は、蒸気などで間接的に加熱を行うのでエネルギー効率がよく管理がしやすいメリットがあります。
冷却方法で味が変わる!!
留液の冷却は主に2タイプ!!
- シェル&チューブコンデンサー
- ワームタブコンデンサー
シェル&チューブは冷水の流れるチューブが何本の入った管に蒸気を送り込むことで冷やす方法です。
基本的に中身の材質はすべて銅製です。
この冷却装置だと銅とアルコール蒸気の接する面積が大きくなります。
そのためライトな酒質になりやすいといわれています。
反対にワームタブは大きな桶の中にらせん状の管が入っていてその管の中を蒸気が通ることで冷やされる方法です。
この管もほとんどは銅製です。
ところが蒸気が液体に戻るまでに接する銅との面積が少ないので、重たい酒質になりやすいといわれています。
しかし、両方とも冷却水の温度を変えるだけで酒質を変えることができます。
例えば、シェル&チューブなら冷却水をキンキンに冷えた水にすればその分銅と蒸気が接する時間が減りますし、ワームタブなら冷却の温度を高くするとライトな酒質になるそうです。
つまり、気温や冷却水の温度によってウイスキーの味わいは大きく変わるのです。
ウイスキー蒸留所では、夏に仕込むウイスキーと冬に仕込むウイスキーの味が違う話は有名だそう。
その理由が蒸気の冷却スピードによる銅とのコンタクトの長さです。
形の違いで味が変わる!!
ポットスチルの形は味わいに影響しやすいです!
上で説明した還流と銅とのコンタクトが大きな理由です。
そしてポイントとなるのが、蒸気の状態でいる空間です。
この空間が大きければ大きいほど還流も起きやすく、銅とのコンタクトも多くなります。
反対に小さければ小さいほど還流が起きにくく、銅とのコンタクトも少なくなります。
スチルの大きさで変わる!
スチルが大きいとその分「空間」ができます。
そのため大きくなればなるほどライトな酒質になりやすい傾向があります。
ヘッドの形で変わる!
まっすぐ伸びているヘッドとやや膨らんだ箇所あるヘッドでも蒸気が滞る空間がポイントとなっています。
空間ができる膨らんだ箇所のあるヘッドの方が、ライトな酒質になりやすいです。
ネックの向きで変わる!
つまりコンデンサーに向かう口の部分が下を向いているか、上を向いているかで「還流」の起きやすさが変わってきます。
比較的下向きは重ため、上向きは軽めのウイスキーになりやすいです。
連続式蒸留機について
何十層もの蒸留するスペースのある高い塔のような蒸留装置です。
連続的に蒸留を行うことができ、ずっと原酒を造り続けることができます。
1831年にイーニアス・コフィが開発したコフィ式スチルが実用化され、そこからウイスキー造りだけでなく蒸留酒づくりの中心となった連続式蒸留機。
最初のコフィ式は粗留塔という「とりあえず蒸留」の塔と精留塔という「しっかり蒸留」の塔の2塔式でした。
それから連続式蒸留機も日々進化し、今では何塔もの蒸留塔からなる複雑なシステムになっています。
ちょっと前まで連続式蒸留機の内側は基本、銅製でした!
ただこれでは交換や設備維持が大変だったそうです。
しかし、今では銅製のネットを各段に仕込むだけ変わっています。
格段にメンテナンスが楽になったそう。気になる味わいも大きな変化はないみたいです。
さらに銅製の網を入れるだけにしたことで「減圧蒸留」が可能になりました。
グレーンウイスキーはよりすっきりとした味わいとなって、ここ最近で大きく改善されているようです。
圧倒的な性能の違いを誇る最新のアロスパス式
アロスパス式連続蒸留機の大きなポイントは抽出塔があることです。
今までフーゼルアルコールという成分がエタノールとずっと一緒に蒸留されるので分離することができませんでした。
つまりどうしてもピュアなエタノールに近づけらなかったそうです。
そこで誕生したのが抽出塔のあるアロスパス式蒸留機!
実はフーゼルアルコールには水と分かれる性質(疎水性)があります。
ここから「フーゼル油」ともいわれています。
そこで一度抽出塔で加水してフーゼル油を分離させて蒸留させるという方法でピュアなエタノールに近づけることを可能にしました。
アロスパス式はほかにも濃縮塔、分離塔などなど様々な役割の蒸留塔からなる連続式蒸留機です。
今稼働している連続式蒸留機は、このアロスパス式の独自改良版が多いそうです。
スチルの性能の違いが、味の決定的差ではないことを……コフィ式スチルについて
コフィ式スチルは古典………
なんてことはありません!!!
コフィ式スチルにしか出せない味、コフィ式スチルだから残る個性というのは大きく注目されています。
ここを教えてくれたのが「ニッカ カフェモルト」と「ニッカ カフェグレーン」です!!
プリンのカラメルのような香りとコクは樽だけでなく、スチルからくるものも多いそうです。
ニッカさん以外にスコットランドならロッホローモンドのシングルグレーンがコフィ式スチルの原酒を楽しめるようです。
原料の個性が違うので全然味わいは違いますが、ぜひ試してみてください!
グレーンウイスキーですがちょっと特殊なグレーンウイスキー
実は、原料は大麦麦芽のみ。
ただ蒸留器がポットスチルではなく、連続式蒸留機を使用。
そのため、「グレーンウイスキー」となっています。
スパイシーさと豊かな甘み。そしてモルトにザラメのような甘い香りが特徴。
ストレートでもハイボールでもオススメな一本です!
価格帯 | 2000~3000円 |
---|---|
アルコール度数 | 46% |
容量 | 700ml |
特徴 | 全英オープン公式ウイスキーのシングルグレーン |
原産国 | スコットランド |
しっかりとしたコクがありつつ、飲みやすいスムースさもあるバランスのいいウイスキー!!
グレーンウイスキーという名だけで、受け入れがたくなってしまうのは本当にもったいないなと思う一本です。
アロマ | 3.6 |
フレーバー | 3.8 |
余韻 | 3.8 |
yaffeeウイスキーってよくよく見ると種類があってややこしいです。。なるべく楽しくわかりやすく解説したいと思います。 本日もお越し頂きありがとうございます。ウイスキーを愛する料理人Ya[…]
最後に……
最後まで今回の記事を読んでいただきありがとうございます。
今回の話いかがだったでしょうか。
蒸留は、ウイスキーづくりの要!
ウイスキーに与える影響としては樽の次に大きいといっても過言ではありません。
熟成年数の若いウイスキーなら、もしかしたら樽より影響を与えているかもしれません。
そんな蒸留ですが、ウイスキーにとって特におさえておきたい大事なポイントは3つです。
- 蒸留回数
- 還流
- 銅と蒸気の接触
この3つのポイントを理解できると蒸留によってどのような酒質のウイスキーが生まれるかわかると思います。
連続式蒸留機と単式蒸留器の違いも
ポットスチルの形状の違いによる酒質の変化も
季節による酒質の違いも
冷却方法による違いも……
すべてこの3つのポイントで説明できます。
つまり……
蒸留回数が多く還流が起きやすい。そして銅と蒸気の接触が長い方がライトな酒質に
蒸留回数が少なく還流が起きにくい。そして銅との接触が短い方がヘビーな酒質となっていくわけです。
単式蒸留は、ポットスチル一つに対して毎回1回の蒸留しかできません。
対して連続式蒸留器はそれぞれの棚1つにつき一回となるので、一つの蒸留塔だけでも数十という蒸留が連続的に行われているのです。

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