美味しいウイスキーも『水』次第!?マザーウォーターといわれるウイスキーの仕込み水を徹底深堀!!

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本日もお越し頂きありがとうございます!!

常に水にはこだわりたいウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o
 

今回のお話は「ウイスキーの仕込み水『マザーウォーター』」について!!

 

ウイスキーは蒸留酒。

ビールや日本酒だと、仕込み水って重要なことは何となくわかるかもしれません。

ところがウイスキーのような蒸留酒だと、「仕込み水」の重要度って低いようなイメージありませんか?

 

実は!!

ウイスキーはめっちゃくちゃ『水』が重要!!

『水』にこだわっていない蒸留所はない!!といっても過言ではないです。

 

ただ『水』とウイスキーがどう関係しているのか。

 

『蒸留』という工程が入り、『熟成』させるウイスキーのどこで『水』が重要となのか。

今回は、「ウイスキーと水」について注目。深く解説していこうと思います!!

「ウイスキーと水」の話を知ってしまったら、ウイスキーの割り水やチェイサーにこだわりたくなるかもしれません!?

 

目次

お酒造りには『水』が重要!
実はウイスキーも……?

お酒造りには水が重要!

特にビールや日本酒のように穀物から作られるお酒にとって、水へのこだわりは必要不可欠です。

ただ、同じ穀物から造られるお酒でも「蒸留酒」であるウイスキーは、どこか水に注目されること少ないと思います。

 

ところが!!ウイスキーこそ、水がかなり重要!!!

『樽』に注目されがちなウイスキーですが、『水』もそれと同等ぐらいに味を左右するポイントです!

 

それもそのはず、ウイスキーの成分は99%以上が水とエタノール。

のこりの1%程度の微量成分でウイスキーの味や個性が決まります 。

 

「1%」の中の様々な成分でウイスキーに個性が出ています。

ただ 、残り99%の水とエタノールが重要!!。

 

つまり、ウイスキーに使われる水が『いいもの』であればあるほど『いいウイスキー』となるのです。

そして仕込み水は、ウイスキーの製造工程の中で様々な影響を与えます

まさに『ウイスキーにとって水は命』なのです。

 

仕込み水は英語で「マザーウォーター」!!

ウイスキーの仕込み水のことを英語で「マザーウォーター」といいます。

その名の通り、スコットランドでは昔から大麦と水からウイスキーが生まれると考えられてきました。

ウイスキーの語源も「命の水」です。

 

当時、蒸留は神を司る場や錬金術師など限られた人や場所でしか行うことのできなかったそう。

洗練された水から生まれるウイスキー

 

飲むことで魂が燃えるように胸が熱くなることから、「命の水」が当てられたと考えられています。

蒸留所の建設時、清らかで豊かな水があることが場所選びの条件の一つとなっています

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NHK連続ドラマ「マッサン」でもマッサンがウイスキーづくりに最適な水を求めて日本全国飛び回る描写がありましたよね。

ただ、そもそも仕込み水はどこで使われていると思いますか??

ウイスキーで仕込み水が使われるターニングポイントは、2つあります!!

  1. 大麦に水を染み込ませる『浸麦』という工程
  2. 大麦麦芽から甘い麦のジュース”麦汁”を作る『糖化』工程

この2つがウイスキー造りにおいてこだわりの「仕込み水」が使われるポイントとなっています。

それでは、それぞれの工程について詳しく見ていこうと思います!!

大麦に水を染み込ませる『浸麦』という工程

大麦は、発芽させた大麦麦芽(モルト)という状態にしないと、モルトウイスキーを造ることができません。

またグレーンウイスキーでも大麦麦芽が必要となってきます。

麦芽について詳しく知りたい方はこちらへ

 

大麦を発芽させるためには、大麦に水をたっぷりと染み込ませる必要があります。

その「浸麦」といわれる大麦に水を染み込ませる作業で、「仕込み水」がたっぷりと使われるわけです。

 

各蒸留所こだわりの「仕込み水(マザーウォーター)」をたっぷりと大麦に染み込ませます

この後発芽させ、乾燥。

そして、大麦麦芽(モルト)にしていきます!!

大麦麦芽(モルト)から甘い麦のジュース”麦汁”を作る『糖化』工程

「仕込み水(マザーウォーター)」をたっぷりと染み込ませて作った大麦麦芽(モルト)。

その麦芽から”麦汁”という麦の甘いジュースが作られます。

 

麦汁を作る「糖化」という工程で「仕込み水(マザーウォーター)」が最も活躍します。

 

仕込み水に麦の成分をしっかりと抽出。

蒸留所独特の麦汁を作っていくのですが、この時に仕込み水のpH(酸性またはアルカリ性の度合いを測る数値)や硬度が大きく関係してくるのです。

pHの値がアルカリ性寄りだと、うまく糖化できないそう。

また、次の発酵工程でも酵母の働きが悪くなってしまう可能性があります。

 

そして『硬度』も硬水に近いほどうまく糖化できなかったり、酵母の働きが悪くなったりするそうです。

ただ中硬水ぐらいだと、逆に酵母が活発となるときもあるそう。

そのため、中硬水の仕込み水にこだわっているウイスキー蒸留所もあります!

中硬水の仕込み水にこだわる蒸留所とは?

 

また、バーボンでは多くの蒸留所が「ライムストーンウォーター」という硬水が使われています。

そのため、ほとんどの蒸留所がバーボン独自の「サワーマッシュ製法」という製法を採用しています。

サワーマッシュ製法とは、「ライムストーンウォータ―」を使うバーボン独自の製法。

仕込み水にバックセットという蒸留廃液を混ぜ、糖化前の「クッキング」という製法の時や発酵槽に加えられます。

 

この製法が行われる理由は、ライムストーンウォーター(ややアルカリ性)の㏗を下げ、酵母や糖化酵素の働きやすい環境にし、雑菌繁殖を防ぐためといわれています。

現在、バーボンウイスキーのほとんどがこの製法を行っています。

詳しく知りたい方は、『バーボンとは?』について書いた記事をご参照ください

樽詰めする時のアルコール度数調節で仕込み水が使われることも……

 

ウイスキーでは、蒸留された後の原酒を水でアルコール度数調節をしてから樽に詰めて熟成させます。

 

蒸留したての原酒は、大体アルコール度数が70%前後から65%ぐらいの間がほとんどです。

樽の成分が最も多く抽出できるアルコール度数は63%前後だといわれて、この度数まで加水し度数を落として樽熟成されます。

 

多くの蒸留所は、63%前後に加水してから樽詰めし熟成させます。

なぜ加水が行われるかというと、アルコール度数63%程度が最も樽材成分を多く抽出できるからです。

熟成中、樽がウイスキーに溶けている

と表現して人もいるように、実際アルコールによって樽の成分がウイスキーに分解され溶けていきます

ところが、アルコール度数が高ければ高いほどウイスキーに溶けていくわけではありません。

 

ウイスキーの中の水分に溶けていく成分もあります

そのバランスが重要。そしてそのバランスのいいアルコール度数が63%なのです。

 

この時、ピュアな蒸留水を使うところが多いですが、「仕込み水」を使う蒸留所もあります

 

ほとんどのウイスキーがすでに『水割り』!?

実はウイスキーのほとんどがすでに水で割られた商品だと知っていましたか?

 

樽から出てきたウイスキーがそのまま製品だと思っている人が多いと思います。

ただし、樽出しそのままのウイスキーはカスクストレングス(Cask strength:樽出し原酒)と呼ばれるウイスキーのみ。

カスクストレングスについて詳しく知りたい方はこちらをクリック

熟成後のウイスキーはアルコール度数50%~60%程度です。

カスクストレングス以外のウイスキーは、その製品のアルコール度数に合わせて加水をします。

そしてどこまで加水するかが、実は大事なポイント。

それぞれの加水したウイスキーのアルコール度数に意味があります。

 ウイスキーのアルコール度数の意味

アルコール度数 意味
37% 日本の酒税法で決められたいる基準値。日本の酒税法ではここから1%高くなるごとに課税されていきます。
40% スコッチやアイリッシュ、アメリカンなど多くのウイスキーの法律が決めている最低アルコール度数。つまりこの度数以下はウイスキー主要国ではウイスキーと認めていないようです。
43% 19世紀に英国で定められていた標準度数。なぜ中途半端な43%なのかは英国の度数単位英国プルーフが関係しています。
46% 再留時のデミスティングテストというチェックの時とほぼ等しいアルコール度数。ウイスキーの濁りに左右する香味成分がウイスキー内にしっかりと溶け込んだ状態がギリギリ保たれる度数といわれています。
46%以上であれば冷却ろ過の必要がなくなります。
47%以上 ウイスキーの個性を残したい商品など、47%以上にすることがあります。
また、長期熟成や暖かい地域のウイスキーの「カスクストレングス」の可能性もあります。

 

ウイスキーに多いアルコール度数は、37%40%43%46%です。

その中で、37%40%43%は、法的基準で決められた度数。

対して、46%は、冷却ろ過を行わないため、ウイスキーの香味成分がしっかりと残せる度数となっています。

 

このようにウイスキーのアルコール度数には意味があるのです。

ウイスキーのアルコール度数についてもっと深く知りたい方はこちら

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そしてこのボトリング時の加水は、ピュアな蒸留水を使うことが多いです。

  • ボトリング設備を多くの蒸留所が持っていないので、ボトリング工場でまとめて瓶詰するため
  • 仕込み水では、完成したウイスキーの香味を妨げることがあるため

この2つが理由があげられます。

ただ逆にボトリング時に仕込み水を使う蒸留所もあります!!

有名なところだとスプリングバンクブルックラディ です!

 

 

ウイスキー造りには軟水?硬水?

イギリス(イングランド)は硬水が多いですが、スコットランドは軟水の地域がほとんど。

つまり、ウイスキーは圧倒的に軟水で仕込まれることが多いです。

 

水の硬度とは??

 

水に含まれるミネラル分の量を示した数値が「硬度」。

日本とアメリカで採用されているのが、カルシウムとマグネシウムの量を同じ働きをする炭酸カルシウム量に換算する方式です。

硬度=(カルシウム量×2.5)+(マグネシウム量×4.1)

WHOの飲料水水質ガイドラインでは、60度までが軟水、120度までが中硬水、180度までが硬水、それを超えるものは非常な硬水となっています。
ただ日本では、100度以下が軟水、101~299度が中硬水、300度以上を硬水と分けているところが多いそうです。

 

 

イングランドや多くのヨーロッパ諸国は、石灰層を通った地下水や湧水が多いそう。

そのため、カルシウムなどミネラルが多く含まれた硬水となることが多いです。

 

対してスコットランドはピート層から湧き出る水や地下水が多いため軟水が多いそう。

その代わりピートの色のついた水の多く、グレングラントのようにウイスキーより仕込み水のほうが、色が濃いところもあります。

 

お酒造りにおいても軟水のほうが向いている傾向があります

ただ一概に硬水だから酵母が働きにくいというわけではありません。

例えば、鉄やマンガンなどは色の面でお酒に悪影響を及ぼすそうですが、
カルシウムや亜鉛などは酵母の繁殖には必須なミネラル分です。

硬水から名酒も生まれているので、お酒造りには軟水というわけではないのです。

 

竹鶴政孝の実家・広島の灘は硬水から仕込む日本酒として有名。

硬水で仕込んだ方が骨格のしっかりとした男性的な酒質になるなど、良くも悪くも様々な影響があります。

そして、スコッチもすべてが軟水というわけではありません

中硬水でスコッチウイスキーを仕込む蒸留所もあります

 

さらに、アメリカのバーボンウイスキーのほとんどの仕込み水は硬水です。

しかもかなり硬度の高い硬水が多く、「ライムストーンウォーター」と呼ばれるその仕込み水にこだわりを持っています。

中硬水の仕込み水で作られるスコッチモルトウイスキー

 

中硬水の仕込み水が使われている蒸留所は……

中硬水を使う蒸留所

この中で、現在オフィシャルボトルが手に入らないのは「ストラスアイラ」だけです。

 

ストラスアイラは、スコッチブレンデッドウイスキーの「シーバスリーガル」のキーモルトとなっています。

また、ロイヤルサルートの主要モルトでもあり、ほとんどがブレンデッド用に使われています。

 

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水にも種類がある!?
ウイスキーを飲むときにこだわりたい『水』!

 

ここまでウイスキーを造る上での水(仕込み水)の話見ていきましたが、

『水』に注目してみるとウイスキーを割る『水』のこだわりたくなってきませんか??

 

ただ『水』って思いのほか種類があります!!

そこでほんの一部ですが、ご紹介していこうと思います!!

水の種類

水にも様々な種類があります。

実は、何の水でウイスキーを割るか若干ですが味わいも変わります。

ただ、意外と水の種類って何なのかよくわからないこと多いと思うので、「水」についての基本情報から解説していこうと思います。

水の品目

水のみを原料とした清涼飲料水(ミネラルウォーター)には4つの品目があります。

  1. 「ナチュラルウォーター」
    ……特定の水源より採取された地下水を沈殿・濾過・加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの。
  2. 「ナチュラルミネラルウォーター」
    ……ナチュラルウォーターの中でも原水にミネラル成分を含むもの。
  3. 「ミネラルウォーター」
    ……ナチュラルミネラルウォーターを複数混ぜたり、ミネラル調整を行ったりしたもの。
  4. 「ボトルドウォーター」
    ……上記以外の飲用水。水道水や蒸留水、河川水などで処理方法に規定はないです。

これらは、すべて広い意味での「ミネラルウォーター」であり、よく皆さんがコンビニなどで購入するミネラルウォーターには、この4つのタイプがあります。

そしてそれぞれにしっかりと定義があります。

簡単にまとめると、①ナチュラルウォーターと②ナチュラルミネラルウォーターは天然水です。違いは、ミネラル分の含有量となっています。

特定の水源から採取された水が「ナチュラルウォーター」。

そしてその中でも、鉱化した地下水から採取されたのが、「ナチュラルミネラルウォーター」です。

 

では、「ミネラルウォーター」とは何かというと、ナチュラルウォーターやナチュラルミネラルウォーターをもとにミネラル分を調節したり、ナチュラルミネラルウォーターを配合したりしたものとなります。

 

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ウイスキーでいうところのナチュラルウォーターがシングルモルト、ミネラルウォーターがブレンデッドウイスキーといった感じでしょうか。

ほかにも、水の種類には原材料の違い、殺菌方法の違いなどがあります。

  • 鉱水
  • 鉱泉水
  • 伏流水
  • 湧水
  • 浅井戸水
  • 深井戸水
  • 温泉水
  • 無殺菌
  • 加熱殺菌
  • オゾン殺菌
  • 紫外線殺菌

 

海外では人工的に処理したものをナチュラルミネラルウォーターとして売ることができないケースが多いそう。

そのため、無殺菌の水が多いです。

 

対して日本は加熱殺菌のものが多いそう。

品名、原材料名、殺菌方法に注目してみると面白いと思います。

ウイスキーとともに楽しみたいおすすめの水

最後に、ウイスキーを楽しむときにおすすめしたい水についてまとめておきます!!

ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

『ディーサイド Deeside』

英国ロイヤルファミリーも愛したスコットランドのナチュラルミネラルウォーター!

スコットランド・ハイランド地区のパンナ二ック鉱泉から湧き出た水で、爽快な口当たりの軟水となっています。

地元では「奇跡の水」とも呼ばれているもので、この水でウイスキーを割ると、ウイスキーの個性を邪魔することなくすんなりとなじんでくれます

品目 ナチュラルミネラルウォーター
原材料名 鉱泉水
硬度 22度
原産国 スコットランド

『南アルプスの天然水』

 

「山の神様がくれた水」でおなじみの国内で最も有名な水。

スッキリとキレのいい味わいで、ウイスキーの味を邪魔しません!!

水割りにも、トワイスアップにも適している水で日本人にもなじみやすく、ウイスキー用のとしてもおすすめです!!

品目 ナチュラルミネラルウォーター
原材料名 鉱水
硬度 30度
原産国 日本

最後に……

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回のお話いかがだったでしょうか?

『水』について注目してみたウイスキーの記事ってなかなかないなーと思って、アウトプットも兼ねて書いていきました。

 

『水』について調べながら書いてみると、『水』って想像以上にはるかに深い世界だなと思います。

ウイスキーだけでなく、料理も『水』が元。

硬度によって、出汁の出やすさが変わってきますし、パンも発酵の仕方が変わってきます。

 

『水』についてもっと詳しく見ていくと、いろいろなものが楽しく思えるかも!?

そんなことを思いながら、今日もウイスキーを楽しもうと思います!!

 

それでは良いウイスキーライフを!!

また次回もよろしくお願いいたします!!

 

 

 

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この記事を書いた人

香りづけに使用したことからウイスキーにどっぷり嵌ってしまった料理人です。
調理師の仕事をしつつ、ウイスキーと料理の魅力を紹介するためにブログ・メディアを作成。
様々な視点からウイスキーを解説しています。

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