蒸留所データ
創業……1840年
創業者……シェームズ・グラントとジョン・グラント
オーナー会社……カンパリ社
年間生産量(100%アルコール換算)……620万ℓ
仕込み水……キャパドニックウェルの泉から流れるグレングラント川(ブラックバーン・黒い川)
使用麦芽……ノンピート
発酵槽……オレゴンパイン10基
ポットスチル……初留釜4基、再留釜4基
グレングラント Glen Grant 蒸留所について
グレングラント蒸留所は、ネーミングがかなり独特な蒸留所。
なぜかというとモルト蒸留所で人の名前が由来の蒸留所だからです。
ほとんどの蒸留所名はその土地の名前や地名にちなんだものが多いです。
その中でグレングラント蒸留所は創業者であるグラント兄弟からその名がつけられました。
グレングラントGlen Grantを築き上げた人物
グラングラントは1840年ジェームズとジョンのグラント兄弟が創設。 弟ジョン・グラントは穀物商の傍らアベラワー蒸留所(当時密造酒だった時)で蒸留技術を学び、ウイスキー造りのエキスパートとなります。
そして兄ジェームズ・グラントは法律家・政治家として活躍していました。
中でもスペイサイドに鉄道を敷いた功績が認められ、貴族になっています。
グレングラント蒸留所の立ち上げ時は事務・行政部門だったそうです。
のちにこの鉄道を使い、スコットランド以外で初めてシングルモルトを販売した蒸留所となっています。
2代目は兄シェームズの息子シェームズ・(ザ・メジャー)・グラントが継ぎます。
彼は釣りや世界旅行、ハンティングとが大好きな典型的なカントリージェントルマン。
常にツイードスーツに身を包み、立派なセイウチ髭をたくわえていたのだとか。
その姿から周囲から「少佐(The Major:ザ・メジャー)」といわれていたそうです。
彼は食事に誘った客を、食後に領地内の峡谷に案内。
岩陰に隠れた金庫からグレングラントとグラスを取り出し、みなにウイスキーをふるまったのだとか。
客がチェイサーが欲しいといったら仕込み水にもなっている近くの小川から自分のグラスに汲ませて飲ませたという話があるようです。
よっぽど自分の父の作ったウイスキー、そしてそのウイスキーが生まれる仕込み水に誇りを持っていたんでしょうね!
彼は自由奔放に人生を謳歌し、結婚と離婚を繰り返ていたそうです。
メジャー・グラントが2代目となるときにはずっと遊び歩いていた彼に不安の声はあったでしょう。
しかし!!
メジャー・グラントの自由奔放な生き方が自由な発想を生み、グレングラントの「今」を築き上げます。
メジャー・グラントは大きく3つの改革を行いました。
1.スチルの形を独自のストゥーパ型という形に変え、 すべてのスチルにピュアリファイヤー(精留器)を取り付けた。
当時はスペイサイドというジャンルはなく、ピーティーでヘビーなハイランドタイプのウイスキーを作るところが多かったそうです。
メジャー・グラントは世界的に見たらこのようなウイスキーが求められていないことを世界を遊び歩いた経験から知っていたのかもしれません。
軽く、エステリーですっきりしたウイスキーを目指しました。
これが大ヒット!!またこの時にまだスコットランドでは珍しかったポットスチルの間接加熱も採用しています。
2.世界の蒸留所で最も早く電化を進めた。
とりあえず新しいことを試すのが好きだったメジャー・グラントらしい改革です。
これにより製品の安定性が増し、効率も改善されたそう。
3.蒸留所の背後にヴィクトリアガーデンを造った!!
世界を遊び歩いたメジャー・グラントの趣味の部分でもありました。ただそれが今まで造るだけだった蒸留所が、人に見せる蒸留所・人を招く蒸留所としても有名になっていきます
このようなメジャー・グラントの功績をたたえて、グレングラントのオフィシャルスタンダード年数表記ナシを 「ザ・メジャー・リザーブ」と名付けています。
製品よりも色の濃い仕込み水!?
グレングラントの仕込み水グレングラント川はピート層を通って湧き出るピート色の強い焦げ茶色の水だそうです。
その仕込み水を使っているため出来上がるウイスキーにもピートの香りが若干残るそう。
ちなみにこの仕込み水は グレングラントの製品より色が濃いそうです。
いまだにスコットランドに行けていないのでぜひ一度見てみたいですね。。。
イタリアNo.1となった経緯
これには二つの経緯があるようです。
一つ目が先代ジェームズ・グラントが作った鉄道。これによってスコットランド以外で初のシングルモルトをリリースします。これが見事イタリアでヒット!!
ここからイタリアNo.1シングルモルトとなったというものです。
もう一つがたまたま説。
たまたま蒸留所に訪れたイタリア人が「グラングラント5年」を数ケース購入します。
そしてその人が母国イタリアで販売。これがきっかけでイタリアでのシェアを伸ばしていったのだとか。
僕は両方が重なってイタリアNo.1 となったのだと思います。
イタリアからグレングラント蒸留所に来た人も世界的にリリースされたグレングラントの味をどこかで飲んでいたと思います。
だからこそ「グレングラント5年」を大量に買い、イタリアで売ろうと思ったのかもしれないですね。
今でもイタリアの中で「グレングラント5年」が一番のシェアとなっています。
日本だと「グレングラント5年」はなかなか手に入らないです。
イタリア優先販売だそう。。。
ちなみに熟成年数表記のない「ザ・メジャー・グラント」は7年熟成の原酒が多いそうです。
蒸留所のモットーは 「飾らないこと(simplicity )」
このような経緯のあるグラングラントは「飾らないこと」「シンプルであること」をモットーに掲げています。これはメジャー・グラントの意思を継いだもの。
だからこそ飲み飽きないライトで万人受けするウイスキーを造り続けられるのだと思います。
ラインナップ
グレングラント Glen Grant メジャー・リザーブ The Major Reserve
グレングラント Glen Grant 10年 10y
旧ボトル
新ボトル
グレングラント Glen Grant 12年 12y
グレングラント Glen Grant 18年 18y
ちなみに個人的にグレングラントのトワイスアップ(ウイスキー:常温の水=1:1で割る飲み方)をワイングラスに入れて楽しむ飲み方が一番料理に合わせやすいです。
ワイングラスだとウイスキーテイスティンググラスより口が広いので、香りが広がりやすいです!!
よかったら試してみてください!
最後まで今回の記事を読んでいただきありがとうございます。
グレングラントの話いかがだったでしょうか。
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