『ハイランドモルト』とは?スコッチウイスキーの入門・ハイランドについて詳しく解説!

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本日もお越しいただきありがとうございます!!

ウイスキーを愛する料理人Yaffeeです。 (@TW0GPYU3yMS7N3o

 

本日のお話は「スコットランド・ハイランド」について!!

 

ウイスキーは、作られた場所の風土や気候などが酒質に大きな影響を与えて、個性として飲む人を楽しませてくれます。

特にスコッチウイスキーはその個性がわかりやすく、生産地を知ることでウイスキーがより楽しくなるでしょう。

 

スコッチウイスキーには6つの生産区分がありますが、今回紹介する生産地は「ハイランド」。

この地で作られているモルトウイスキーを「ハイランドモルト」と言います。

 

スコッチウイスキーの生産区分

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  • クセの強いアイラモルト。
  • フルーティで華やかなスペイサイドモルト
  • ライトで繊細なローランドモルト
  • 島々の個性豊かなアイランズモルト
  • 複雑なフレーバーに富んだキャンベルタウンモルト

 

最も広い範囲となのがハイランドで、スコッチらしい骨格がしっかりした個性のあるタイプが多いです。

アイラモルトのように癖があるわけではないので、初心者でも飲みやすい銘柄が多いかと思います。

 

今回はそんなハイランドについて深く解説しつつ、その魅力に迫っていきましょう!

目次

「ハイランド」とは?

スコットランド本土は、大きく「ハイランド」と「ローランド」に分かれます。

その境界線は文献や時代などによって大きく変わるので、きっちりと分かれているわけではありません。

 

ただウイスキーでは、現在 東のダンディー、西のグリーノックを結ぶ想定線で分かれています。

ハイランドとローランドはダンディーとグリーノックを結ぶ境界線で分けることができる。

その想定線から北がハイランド、南がローランドです。

ローランドはイングランドに近い地域。

エジンバラ(首都)、グラスゴー、パースといったスコットランドの主要都市があり、その三角地帯にスコットランドの8割ほどの人口が集まっています。

農業に適した地域も多く、経済的にも政治的にもローランドがスコットランドの中心地です

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対してスコットランド・ハイランドは山岳地域が多い地域。

バグパイプ・キルトなどスコットランド独特の文化は、元々ハイランドの伝統文化。

スコットランドの「色」が濃く残っているのがハイランドです。

 

「ハイランド」と「ローランド」は、地図で見た時に上だからハイランド、下だからローランドと呼ばれているわけではありません。

ハイランドは山岳地域が多く、そしてローランドは平坦な丘陵地域が多いです

 

このとこから山岳地域をハイランド平坦な地域をローランドと呼ぶようになりました。

スコットランドのハイランドとローランドの違い ハイランドは山岳地帯が多く、険しい地形が多い。 対してローランドは平坦な地形が多く農業、産業の中心地

 

元々民族的には北のハイランドは、ピクト族やゲール族(スコット族)が支配

対してローランドはブリトン族、ゲルマンなどが支配していました。

 

バグパイプやキルトはピクト族やスコット族などハイランドの伝統文化。

スコットランドの特色がよく表れている地域であり、そういったハイランドの文化がウイスキーにも表れているのが「ハイランドモルト」です。

 

yaffee

例えば……

ハイランドモルトで有名な【グレンモーレンジィ】のラベルには、ピクト族が残したといわれている紋章が描かれています。

「大地、火、水への信仰」を表現した紋章だそうです。

ウイスキーもスコッチ伝統の「骨格・ボディのしっかりしたタイプ」が多いかなと思います。

ところが、ハイランドはすっごく広い!!

その分ウイスキーの特徴も多彩です!!

そんなハイランドモルトの特徴から解説していこうと思います。

ハイランドモルトウイスキーの特徴

ハイランドはもともと「密造酒」が多かった地域です。

それはスコットランドのウイスキーの歴史に関係してきます。

その歴史についてすこしまとめていこうと思います。

 

ハイランドのウイスキーの歴史

ハイランドには、元からあまり多くは人が住んでいませんでした。

イングランドから追いやられたスコット族やケルト民族の末裔たちが多かったそうです。

そのため、イングランドへの恨みは根深いものでした。

 

またハイランドモルト自体作っている蒸留所は多かったとはいえ、ローランドの方が勢いがあった時代があります

yaffee
当時のハイランドウイスキーは、地元で愛されていたお酒だったと思います。ほかの国では、その癖から飲まれることは少なかったそうです。

 

1707年スコットランドがイングランドに併合されると、スコットランドのウイスキーに重税が課せられます

その税から逃れるために、ローランドからハイランドへ移住。

ハイランドの谷で隠れてウイスキーを作るようになりました。

密造酒時代の始まり」です。

 

密造酒が盛んだったころのハイランドには、たくさんの密造所があったといわれています。

その理由は、「ローランドでは隠れてウイスキーを作ることが難しく、税金から逃れるためにハイランドで作っていた」だけではありません。

「イングランドやスコットランド中央政府への反抗心」から密造酒を作っていたそうです。

 

1823年に酒税法改正で重税が解かれると、公認ウイスキー蒸留所が増えていきました

ただそんな中でも、クセのある個性的なモルトウイスキーにこだわっていたハイランドのウイスキー。

ほかの国や地域では個性的過ぎて飲まれることはありませんでした。

 

そんなハイランドモルトの運命を変えたのが、

  • ローランドのグレーンウイスキーの誕生、品質の向上。
  • グレーンウイスキーとブレンドしたブレンデッドウイスキーの誕生。

でした。

個性的なハイランドモルトをブレンドしたブレンデッドウイスキーが時代も後押しして世界中でヒット!

 

スコッチウイスキーが広く親しまれるようになります。

そして昨今のシングルモルトブームにより、個性的なモルトウイスキーへの関心が高まってきています

yaffee
ハイランドモルトのオフィシャルボトルは、どんどん日本にも入ってきています。
個性的なウイスキーも親しまれるようになってきたことが理由かなと思います。

「グレン○○」が多い!!その理由とは??

スペイサイドはもともとハイランドの一つに数えられていました。

そしてハイランド、スペイサイドともに蒸留所を見ていくと、異常なほど「グレン」という名前が付くことが多いです。

どれだけ多いかというと……

  蒸留所名 和名
Glen Ord グレンオード
Glenmorangie グレンモーレンジィ
Glen cadam グレンカダム
Glendronach グレンドロナック
Glen Garioch グレンギリー
Glenglassaugh グレングラッサ
Glen goyne グレンゴイン
Glen turret グレンタレット
Glenburgie グレンバーギ
10 Glen Elgin グレンエルギン
11 Glen lossie グレンロッシー
12 Glen Moray グレンマレイ
13 Glen Keith グレンキース
14 Glen tauchers グレントファース
15 Glen Grant グレングラント
16 Glen Spey グレンスペイ
17 Glen rothes グレンロセス
18 Glen dullan グレンダラン
19 Glenfiddich グレンフィディック
20 Glenallachie グレンアラヒー
21 Glenfarclas グレンファークラス

 

ハイランドとスペイサイドだけで見ても、21か所の「グレン」が付く蒸留所があります。

閉鎖蒸留所も含めると、もっと多いです。

 

なぜこれほどまでに「グレン」が多いのでしょうか?

 

それは、「グレン」という名前の意味に由来します。

「グレン」とは、「谷」という意味。

スコッチウイスキーに「グレン」が多い理由。それは、「グレン(GLEN)」が「谷」を意味する言葉で谷で作られていた蒸留所が多いから

ウイスキーの密造酒時代に、密造できる場所を求めてたどり着いてのがハイランドの山岳地帯でした。

そしてその山岳地帯の谷で隠れてウイスキーを作り始めたのです。

 

そして「谷」には多くの蒸留所ができ、その名残りとして「〇〇の谷」という意味のウイスキー蒸留所が多くできました

 

yaffee
スコッチウイスキーのの名称に「グレン」が多いのは、いわば密造酒時代の名残りともいえると思います。

ハイランドモルトの特徴

スコッチウイスキーの生産区分「ハイランド」はかなり広範囲です。

実はちょっと前までスペイサイド」や「アイランズ」もハイランドの一部に数えられていました。

今では「スペイサイド」や「アイランズ」は独立した生産区分となっています。

この2つの生産区分が独立したとしても、広範囲

 

全体的に、ハイランドモルトは、骨格のしっかりとしたスコッチ伝統の個性豊かなモルトウイスキーが多い傾向があります。

ただその中でもハイランドは大きく「4つの区分」と「2つのタイプ」に分けることが多いです。

 

  1. 北ハイランド
  2. 東ハイランド
  3. 南ハイランド
  4. 西ハイランド
  1. 内陸部のシングルモルト
  2. 沿岸部のシングルモルト

それぞれ分けて考えるとハイランドモルトの特徴がわかりやすいと思います。

ハイランド地区4つの生産区分別の特徴

北ハイランド

この地域は、現在稼働中蒸留所が18か所あります。

ハイランドは、北に行けば行くほどライトになっていく傾向があります。

 

最北部の【ウルフバーン】や【プルトニー】はライトで潮感が特徴。

ライトな酒質ですが、ピリピリとした潮のニュアンスを感じます。やや辛口と感じるものが多いかもしれません。

 

また北の方にある【グレンモーレンジィ】も軽やかで華やかな印象。

ライトな味わいの中間に、ハイランドモルトらしい厚みがあるのも北ハイランドのモルトウイスキーの特徴だと思います。

 

ただ南に近付いてくるとボディの厚いものが増えてきます

特にボディの厚さがわかりやすいのが【ダルモア】と【ロイヤルブラックラ】です。

 

東ハイランド

現在稼働中の蒸留所は15か所ですが、元々は20か所以上の蒸留所があった地域です。

 

特に東地区の中でもアンガス地区やグランピアン山脈東側は壊滅的

閉鎖された蒸留所が特に多い地区です。

 

その理由としてはスペイサイドモルトに近い特徴が原因の一つだと思います。

東ハイランドのウイスキーは、甘めでフルーティなタイプが多くしっかりめのボディといった特徴

ただ、スペイサイドほど華やかさを感じないことと元々小規模蒸留所が多かったため、閉鎖が相次いだのだと思います

 

しかし、東ハイランドのウイスキーで現在も残っている蒸留所は【ロイヤルロッホナガー】や【グレンドロナック】のように高品質のものが多いです!!

 

南ハイランド

稼働中の蒸留所が8つ、ほか新勢力の蒸留所が多数誕生しているのがこの地域です。

南のローランドに近い地域はやや軽め、南ハイランドの中でも北の方はしっかりとした厚みが特徴

特にナッツ感を感じるウイスキーが多いと思います。

 

南の方に位置する【タリバーディン】や【ロッホローモンド】は、ライトでクリーンな味わいの中に感じるナッツ感。

北の方の【エドラダワー】や【アバフェルディ】は、紅茶やはちみつなど濃厚なフレーバーの中に感じるナッツ感。

この違いは結構面白いです!

 

西ハイランド

 

西地区は、3つの蒸留所と稼働中のウイスキー蒸留所があまりありません。

しかも一つは最近できたばかりの【アードナマッハン(アードナムルッカン)】という蒸留所

 

【オーバン】と【ベンネヴィス】ぐらいなので、この地域の特徴はコレ!とは決められないかなと思います。

あえて言うならリンゴ系なフルーティさとしっかりめのボディが特徴ではないでしょうか。

 

ただ【オーバン】は潮感も感じますし、ピートも効いていてスプリングバンクのようなキャンベルタウンっぽい特徴が現れています。

そのため、【ベンネヴィス】を基準に味わってみると特徴がわかりやすいかなと思います。

ハイランド2つのタイプ別の特徴

ハイランド地区は4つの生産区分別以外に、内陸部と沿岸部で分ける見方もあります

ただ、その特徴はすべてが当てはまるわけではないです。

 

どちらかというと4つの生産区分の方が一般的。

なので、あくまでも参考程度に……。

ハイランド内陸部のシングルモルト

内陸部は、ボディの厚いしっかりとしたタイプのウイスキーが多いです。

特にスコットランドの真ん中に近いほど、ボディが厚いものが多くなります。

 

内陸部にあるハイランドモルトでも、ローランドに近い【ディーンストン】では、軽やかな酒質。

対して、中心部に近い【エドラダワー】は重ための酒質となっています。

 

ただ、あくまでも参考程度にしてください。

なぜかというと、ほぼ中心地にある【ダルウィニー】は軽めの酒質のウイスキーとなっているからです。

ダルウィニー】は、かなり標高の高い所にある蒸留所で、スコットランドで最も寒い蒸留所といわれています。

 

そのため熟成のスピードが遅く、軽めの酒質となりやすいのです。

 

ハイランド沿岸部のシングルモルト

対して沿岸部は比較的軽やかなタイプのものが多いかなと思います。

ただ、ピートを焚いているものや華やかなノンピートのタイプなど様々。

 

さらに沿岸部の特徴に「潮っぽさ」が上がることもあります。

確かに、【プルトニー】や【ウルフバーン】、【オーバン】のように潮っぽさを感じる銘柄は多いです。

ただ【グレンモーレンジィ】や【ダルモア】のように「潮っぽさ」を感じないものも多いので、一概にハイランド沿岸部の特徴とは言えないかなと思います。

ハイランドモルトウイスキー蒸留所一覧

 

蒸留所名 オーナー 創業
Balblair インバーハウス 1790
Ben wyvis ディングウォールコミニティ 2017
Brora ディアジオ 2020再開
Clynelish ディアジオ 1967
Dalmore エンペラドール 1839
Dalwhinnie ディアジオ 1897
Glen Ord ディアジオ 1838
Glenmorangie モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン 1843
Loch Ewe ドラムチョーク・ロッジ・ホテル 2004
Pulteney インバーハウス 1826
Deeside ディーサイドブリュワリー&ディスティラリー 2017
DorNoch ドーノッホキャッスルホテル 2016
Royal Brakla バカルディ 1812
Speyside ハーベイズ・オブ・エジンバラ 1990
Teaninich ディアジオ 1817
Tomatin 宝酒造 1897
Wolfburn オーロラブリューイング 2013
invergordon エンペラドール
Ardmore ビームサントリー 1898
Fettercairn エンペラドール 1824
Glen cadam アンガス・ダンディ 1825
Glendronach ブラウンフォーマン 1826
Glen Garioch ビームサントリー 1797
Glenglassaugh ブラウンフォーマン 1875
Knockdhu インバーハウス 1893
Macdaff バカルディ 1960
BrewDog ブリュードック 2016
Royal Lochnagar ディアジオ 1845
Aberfeldy バカルディ 1896
Blair Athol ディアジオ 1798
Deanston ディスティル 1965
Edradour シグナトリー 1825
Glen goyne イアン・マクロード 1833
Glen turret アート&テロワール 1775
Strathearn 2013
Leven ディアジオ 2013
Carfty クラフティ・スコティッシュ・ディスティラリー
Chain Pier ホールウッド・インターナショナル
Clutha ダグラスレイン
Loch Lomond ヒルハウス・キャピタルマネジメント 1965
Tullibardine ピカール家 1949
Ardunamurchan アデルフィー 2014
Ben Nevis ニッカウヰスキー 1825
Oban ディアジオ 1794

 

その他蒸留所一覧ページはこちら

ハイランドモルトと間違いやすい銘柄

名前に「ハイランド」と記載されたハイランドモルトと間違いやすい銘柄があります。

ハイランドパーク

ハイランドパークは、スコッチシングルモルトウイスキーですが、ハイランドモルトではありません。

名前に「ハイランド」が入るため間違いやすいですが、ハイランドパークはスコットランド本土北にあるオークニー諸島で作られています。

アイランズモルト」に分類されて、ソルティさとスモーキーさが印象的な複雑なフレーバーが特徴のウイスキーです。

 

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ハイランドクイーン

ハイランドクイーンは、スコッチブレンデッドウイスキーになります。

ハイランドモルトもブレンドされていて、タリバーディン(ハイランド)とグレンマレイ(スペイサイド)がキーモルトです。

 

当初はキーモルトとして「グレンモーレンジィ」が使われていたそうですが、現在は使われていません。

スコッチブレンデッドウイスキーの中では、ハイランドモルトの特徴が現れている銘柄の一つなので、一緒に飲み比べてみると面白いでしょう。

 

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最後に……

最後までお読みいただきありがとうございます!!

今回のお話いかがだったでしょうか?

 

ハイランドモルトの特徴をつかもうと思うと、結構難しいと思います。

 

なんとなく、ブラインドテイスティングの時にハイランドっぽさってどういう時に感じているか自分なりに分析して書いてみましたが、改めて難しいな……と思いました。

ただざっくり「どこか骨太な」ニュアンスを頼りにするとわかりやすいかなと思います。

どう表現したらいいかわからないけど、自分の中では「しっかり者」のニュアンスがハイランドのイメージですw。

 

ただ中にはいい意味で裏切られるものもあったり……。

ウイスキーは本当に奥が深いです。

 

ぜひいろんなウイスキーを楽しんでください!!

それでは良いウイスキーライフを!!

また次回もよろしくお願いいたします!!

 

 

 

※ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。妊娠中や授乳期の飲酒はやめましょう。お酒は楽しく適量で。

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この記事を書いた人

香りづけに使用したことからウイスキーにどっぷり嵌ってしまった料理人です。
調理師の仕事をしつつ、ウイスキーと料理の魅力を紹介するためにブログ・メディアを作成。
様々な視点からウイスキーを解説しています。

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